半年以上前から計画していたバリの学校視察をようやく実現させました。しかも年長の長男と一緒に。
知る人ぞ知る、世界中から学生が集まる学校「グリーンスクール」の訪問レポートです。記事の最後には学校詳細や気になる学費も書いてあります。
誰からも取材費や紹介手数料などは頂いていません。完全に自費取材(趣味)です。
いつか学校見学で食べていきたいものです。。。
この記事にかいてあることは、訪問時=2019年5月31日時点の情報です。
当レポートには私の主観も混じっているので、入学・転校・進学するときはどんな情報も鵜呑みにせずに、きちんと多角的に調べてくださいね。
ご注意
感染症対策のため、開催状況が異なる場合があります。詳細は学校のツアー詳細ページをご参照ください。
グリーンスクール概要
2019年5月末時点の情報です。
グリーンスクールは、インドネシアのバリ島にあるインターナショナルスクールです。
名称 | Green School Bali ぐりーん すくーる ばり |
創立 | 2008年 |
校長 | Leslie Medema |
児童数 |
約500人 |
学年 |
年少から高3まで |
所在地 |
インドネシア・バリ島のデンパサール空港から北に20分、ウブドから南に15分。 水と緑が豊かな渓谷地帯です。 |
インターナショナルスクールということはつまり、出身地と関係なくいろんな国から生徒を受け入れている学校ということです。
私が日本のインターに通っていた時期の話はこちらから。
グリーンスクールのキャンパスマップ
よく写真に使われるメインの建物(マップ上はHeart of Schoolと記載)を中心に、小規模の建物(というか壁のない小屋)がちょうど隣が見えるくらいの距離に配置されています。
来校者は、地図の下方にある道からキャンパスに入ります。門は通常閉じており、ガードマンが立っているので、不審者は入れないようになっています。
キャンパスは、川に向かうに従って下向きの坂になっています。高低差があるので、キャンパスツアーはちょっとしたハイキングです。
寮は川を渡ったところにあるのですが、キャンパスツアーではそちらへは行きませんでした。
で、グリーンスクールのなにがすごいの?
ここでは、グリーンスクールの特徴について書きます。
以下、各項目は公式HPから引っ張っていますが、日本語の部分は実際に見てきた私の感想も含まれています。
ここに書かれていることはグリーンスクールの真実の一面かもしれませんが、全てではない可能性、また主観が交じる可能性が否定できませんのでご了承ください。
グリーンスクール道
いきなり意味不明でしょうが、「Green School Way」の直訳です。
この学校のミッションつまり究極的な存在目的は、「a community of learners making our world sustainable」。ただ、その目的を達成できる卒業生を輩出するんじゃないんです。
むしろ在学中から常に周りに働きかけ、関わりを持ち、責任を持ち、頭と手を動かし、変化を生む訓練を続けます。その繰り返しが、リアルな力、すなわち現代社会に適応する力、技、マインドを養う、ということですね。かなり実践的です。
生徒の自主性がかなり重んじられる学校ですが、必要な読解力・数学・科学はどの学年でもやっています。
子どもたちが作った遊び場。
たとえばここに新しい遊具が欲しい生徒がいたとします。
普通の学校だったら「あったらいいのにな」で休憩時間が終わりますよね。
この学校では、子どもが独自に作り方を調べて考えて、計画と予算を立てて、学校にプレゼンをして許可と予算を取り付け、組み立てまでを周りを巻き込みながら行います。
こんなプロジェクトがぼこぼこ立ち上がります。そして全て、読解力・数学・科学の知識やスキルを使いますよね。
具体的には、Project-based Learning Approachと言います。
ただ高校になるとやはり進学に向けて必要な勉強も取り入れていくそうです。
切磋琢磨に熱心な集団
「Passionate Community of Learners」からの直訳。
Learnerをあえて学習する者ではなく、切磋琢磨する人としてみました。
私が思うに、リーダーを育てたいこの学校では、リーダーたるものまずはラーナーから始まると考えているのではないかと。
また、リーダーは一人ではなく集団で問題を解決したり課題に取り組んだりするものであると。
グリーンスクールの直接的なコミュニティとはすなわち、生徒、先生、保護者、スタッフや近隣住民。でもこのローカルなコミュニティでの取り組みは、メディアや卒業生たちによって時空を越えて全世界に波及していくものです。
壁がない!教室
ここでようやく、特徴的な学校の外観についてです。
原訳は「Wall-less learning environment」
学校内どの建物も竹や材木でできていて、壁がありません。
外部の方からは、よく「子どもは集中できるのか」「雨降ったらどうするのか」「暑くないのか/寒くないのか」と聞かれるそうです。
結論からいうと、子どもは集中できます。これは、子どもが興味を持つことをやっているから。
確かに私も高校時代(アメリカのボーディングスクール)、外で授業や勉強したり、木に登って読書したりしていました。机や壁と勉強は必ずしもセットではないですよね。
私がアメリカのボーディングスクールに通っていた時期の話はこちらから。
また、雨が降っても大丈夫。ガイド役のクリスさんいわく「濡れるだけ」だそうです。いいね!
屋根は頑丈ですし、木々もあるので、
これは想像ですが、雨風は結構弱まるんじゃないかと思います。
ただやはり湿気に弱い図書室やIT周りの取扱いには、雨に限らず気を使うみたいですね。
ここまでは物理的な「壁」についてでしたが、
この「壁がない」には比喩的な意味もあると私は思います。
つまり、この学校では物理的な壁だけでなく、人種や文化や年齢などもボーダーレスであること、また問題解決や目的達成への障壁も無きに等しいという意気込みなのではないかと。
自然にあふれていますが、デジタルを否定する学校ではないので、知識や情報的なボーダーは少なくとも心配しなくてよいかと。
関係を大事にする
コミュニティ重視の学校ですので、人間関係はもちろん大事です。
が、それ以前に、一人の人間のなかにもSocial社会的、Emotional感情的、Intellectual知能的、Kinesthetic身体的な側面があるという考えがあります。
子どもが小さいときは、「健やかに大きく」「優しくて素直に」「友達たくさん」「夢を叶えられるように」など、親はよく願いますよね。
ところが学校に通い始めたころからなぜか、子どもも大人も、「よりよい成績を」「遅れをとるな、追いつけ追い越せ」と、いろんなものをどこかに置き忘れてきてしまうようです。
それでも人は成績や偏差値以外の部分も大事に決まっています。
かなり一般化してしまいましたが、グリーンスクールはあえてこのような「従来型の学校社会」と対比させて、子どもの局所的な成長ではなく全人格的な成長を目指しています。
かなり実践を重視した学校ではありますが、内面もとても大事にします。
大人になってからも、コミュニティや親しい人や自分自身と良好な関係を築き、どれかひとつ置き去りにすることなく同じように大切にできるように。
設立時からある竹でできた橋。川で分断されているキャンパスをつなぎます。
まるで学校が大事にする「関係性」を象徴しているかのようです。
グリーンスクールに入学するには
2019年5月末時点の情報です。
すでに2020年8月入学の願書受付は始まっています。早いですね。
3歳から11年生(高校2年生)までの受け入れだそうです。
2019年8月入学は、小5だけまだ受け付けているそうです。
2020年1月入学は、残りわずかとのこと。
- 願書はオンライン
- 入学すると在籍期間は最低でも1年ですが、Early Yearsは学期ごとも可能とのこと。(ただ、もし競合した場合は予定期間が短いと不利になる可能性あります)
- 今現在、寮生は受け入れていないとのこと。日本からの入学だと、必然的に教育移住という形になるかと思います。(保護者と同居が必須)
- 2020年8月入学の願書締切は2020年3月1日。合格通知は4月15日以降。初日オリエンテーションは8月7日。
- 2020年1月入学もあるそうです。その場合の願書締切は2019年9月15日。合格通知は10月15日以降。初日オリエンテーションは1月17日。
- 出願料は300万ルピア。約2万3000円。
- 出願後、有料ですが最大2日間体験入学ができるそうです。300万ルピア。約2万3000円。
- 学力で落とされることはないです。が、英語のサポートが必要な場合は、そのためのサポートに空きがなければ断られる可能性が高いです。
廃材や自然素材を利用してつくられたエコシステム。手前の溜池には魚が住み、その水で小屋のなかの植物が命をつなぎ、植物の土壌でろ過された水がまた溜池に循環する仕組みらしい。
グリーンスクールを見学してわかったこと
引っ張りましたが、ここですね、この記事で一番書きたいポイントは。
あくまで私の主観です。教育っていうのはいろんな考え方があって然るべきだと思いますので、押し付け合わないで行きたいと思います。
私は我が子をこの学校に通わせたいか?
結論から言うと、私はこの学校に自分の子を通わせたいと思いませんでした。
教育施設としては本当に優れていると思います。
でも、我が子を送る先として、どうしてもバリのここでなくてはいけない理由が特に見つかりませんでした。
子どもが自ら行きたいと言えるようになれば、話は別ですが。
この学校のProject-based learning approachは特に共感する部分ですが、最近の教育としてはあまり珍しくない手法に感じます。
テストや成績を重視しなかったり、カリキュラムやStructureがゆるい教育も、今ではわざわざ外国に行かなくても、日本でも他の国でも探せばアクセスできる教育の形です。
ガイド役のクリスさん自身も言っていましたが、ジャングルや竹があることは、この教育手法の必須条件ではないです。
グリーンスクールの教育は簡単なことではないが、特別なことでもない。
かなり乱暴な言い方で各方面から叩かれそうですが、それがわかった旅でした。
これだから学校見学は、やみつきになる。
来年から小学校の長男。どんなふうに育つのだろう。。。
確信に近づいた思い
子どもが生まれてから5年超、いろいろ見たり聞いたり学んだりしたことから、感じていることが一歩確信に近づいたような気がします。
子どもが一番伸びて成長するのは、本人の興味が一番発揮される場面だということ。
保護者や教育者ができることは、子どもをじっくり観察し、その子の発育を促す環境を整えること。(やってあげるのではなくて)
これからの時代は、評価・批評ではなく観察・挑戦。
情報が溢れているこの時代、自信がない人や未知な体験ほど周りの意見や情報に左右されてしまう。
でも子どもが育つための答えは、子どもが一番よく知っているのかもしれない。
ただ子どもを信頼するのが怖い人には、そういう転換は難しいかもしれない。
それでもやっぱり、保護者個人の意識、普段の声かけ、家での教育らが原点となり、子どもの成長を促すのだと私は思っています。
少なくとも今回のツアーでは、ここじゃなきゃ、という点を感じられなかったんです。
また、費用面でも国内のインターに行かせるのと大差ないです。(ピンキリですけどね。)
グリーンスクールが特に優れていると感じた点
今回のツアーでは学校のほんの一部しか見られませんでした。
この限られた接点では、グリーンスクールが突出して優れているのは、以下の3点だと感じました。
- 環境教育
もう徹底して、サステナビリティを極めていってます。 - 地域住民との連携
バリの伝統文化や工芸品を活動に取り入れたりと、積極的に地域住民と連携しています。
また、ローカルな子どもが希望すれば奨学金で通えるようになっています。 - マーケティング力
これが一番かもしれない。
遠方から来てグリーンスクールに関わるすべての人が、学校にお金や知恵を落とし、学校をよりよい場所にしています。
現に私もわざわざ有料のツアーに参加しているわけです。
たくさんの著名人や一般人からも寄付金が集まっています。
先生たちも関わりたいと世界中から優秀な人が集まります。
すごい引力が発生している学校でした。
寄附をすると柱の竹などに名前が彫られる仕組み。有名なマジシャンの名前発見。
グリーンスクールを勧めるとしたらこんな親子
グリーンスクールにとっては、エコロジーや持続可能性がかなり大きな部分を占めています。
心と体を連動させる=地球にいいことをしたくなる
こんな図式を各生徒に根付かせているような感じです。
これまた乱暴な表現ですが。
そういう理念へのコミットメントはすごく感じる学校です。
また、保護者もコミュニティの一員である以上、学校活動への参画はほぼ必須となります
PTAみたいなのではなく、自主的に周りと協同して動くことが期待されます。子どもが関係ないところで、コワーキングスペースをオープンした保護者もいます。
日本の生ぬるい環境意識や、閉鎖的な学校活動とは真反対のものを求める親子にはかなりおすすめかと思います。
ただ、一緒に滞在する保護者は英語でコミュニケーションを取れたほうが絶対いいですね。子どもは最悪サポートを付けられますし、吸収力すごいので、大人より早く慣れます。
キャンパス内の畑。
学内の動物たち。
ところで、そもそもバリってどう?
インドネシアのバリ島、というリゾート旅行先として有名な島です。
バリ島までは、成田か大阪から直行便。
赤道をまたいで7時間ほどで着きます。
時差は日本からー1時間。
面積は東京都の2.5倍、愛媛県くらいの大きさとのことです。
緑豊かで、竹やココヤシやコメがたくさんあります。
空港も広くてきれいで、夜中の出発便でもレストランやお店が全部開いていて昼間のようだったのが印象的でした。
とりあえずセブと比べてみる
東南アジアリゾートとして、どうしても行ったことあるフィリピン・セブと比べてしまいます。
- 文字はアルファベットだけど、公用語は英語じゃない
- 日本で言う地蔵やほこらがいたるところにあって、お供えをしている
- 信号少なく、代わりにロータリーをよく見る
- 道の舗装がきれい
- 日本と同じ左側通行(三日目にしてやっと気づく)
- 海は悪くない、リゾートホテルからでも充分きれい(ヌサドゥアとセブ・マクタン比)
- 全体的に、セブより清潔感があった
*セブも好きです。決してディスっていません。
ホテルと航空券をワンストップで検索・予約できて便利なのはエクスペディア。
日本を含む世界30カ国以上のホテルと航空券が予約できます。
まとめ
一気に書きあげました。ここまで長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。特に後半は個人的な感想ですが、誰かの参考になれば嬉しいです。
バリのグリーンスクールをご自身でも見学してみたい方は、こちらに方法をまとめましたのでぜひご覧ください。
まだまだこれからも世界の学校見学してみたいです。おすすめの学校がある方は教えてください!
今の時代は思うように渡航計画を立てることができませんが、バーチャルでも結構調べています。
学校選びで迷われている方は、私のノウハウ集でもある「流されない情報の集め方」をお勧めします。
お子さまの英語教育についてお悩みの方にはこちらの「小学生英語の環境づくり」をお勧めします。
最後に、グリーンスクールの学校詳細を載せておきます。
グリーンスクールの学校詳細
名称 | Green School Bali ぐりーん すくーる ばり |
WEB | HP:https://www.greenschool.org/ Youtube(おすすめ!):https://www.youtube.com/user/greenschoolbali Facebook:https://www.facebook.com/greenschool/ Twitter:https://twitter.com/greenschoolbali Instagram:https://www.instagram.com/greenschoolbali/ |
創立者 | John Hardy カナダ人でCynthiaの夫 Cynthia Hardy アメリカ人でJohnの妻 二人はバリでビジネスパートナーとして出会い、結婚して子どもが生まれたあとに理想の学校を作ったそうです。 |
創立 | 2008年 |
運営 | Yayasan Kul-Kul(インドネシアの非営利団体、つまりNPO) |
校長 | Leslie Medema |
児童数 |
約500人 |
学年 |
アメリカの学年制に近いです。 Early Years 3歳〜6歳の3学年 *English Language Learning (ELL)という、英語力サポートもあります。 |
ミッション |
A community of learners making our world sustainable 私達の世界をサステイナブルにするために切磋琢磨する集団 |
目標 |
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学費 |
2020年度の料金です。 出願料 3,000,000ルピア *決して安くはないです |
所在地 |
バリ島のデンパサール空港から北に20分、ウブドから南に15分。水と緑が豊かな渓谷地帯です。 住所: |
系列校・プログラム |
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メディア掲載歴 |
日本はもちろん、世界中の国の有名メディアに掲載されています。 たとえば↓ 朝日新聞GLOBE The Asahi Shimbun Globe + (和文) ザ・ニューヨーク・タイムズ The New York Times (英文)
日本人卒業生を取り上げた記事はこちら↓ |