このニュースは私に大きな衝撃をもたらしました。
この記事では、タイ校について調べたことをもとに、新しくできるジャパン校について予想してみたいと思います。
先にお断りしておきますが、現時点ではジャパン校についてわかっていることは少ないので、相対的にタイ校についての情報が多くなります。ご了承ください。
ジャパン校の最新情報を入手したい方は、学校の公式メーリングリストに登録することをおすすめします。2022年夏に予定されている国内サマープログラムについても、そこを通じて案内されるそうです。
ちなみに私はラグビー校に直接な関わりはありません。部外者が勝手な予想を立てて楽しんでいるだけの記事であることをご理解ください。
なにが起きているのか
そもそもラグビー校とは、イギリスにある伝統的なボーディングスクールのことです。英語ではRugby Schoolといいます。
ウィキペディアによると、ラグビー校は「1567年に創立されたイングランドで最高峰のパブリック・スクール(名門私立学校)」で、英国トップ校の「ザ・ナイン」のひとつです。
ラグビー校はスポーツのラグビー発祥の地とは言われていますが、だからといって「アスリート養成校」ではありません。
むしろ卒業生が最難関の大学に進学していくことで有名な超・進学校でございます。
そのラグビー校が日本に進出する予定であることは以前から噂になっていましたが、その場所がこの度千葉県柏市にある千葉大学キャンパス内に決まったというのです。
私は、約2年前から柏市民ですので、それはもう驚きました。
こんなツイートも生まれるわけです。
伝統校の海外進出自体はそんなに珍しくない
イギリスの学校が日本にできる。つまり伝統校が海外にキャンパスを持つ。
それ自体はそんなに珍しい話ではありません。
大学レベルだと世界的にはすでに結構進んでいます。日本では、たとえば米国のテンプル大学が有名かもしれません。
私の印象では、世界的にみると北米よりも英国・オセアニアの大学の海外進出がより顕著です。
その進出先は、東南アジアや中東に多い気がしています。
韓国や中国にも欧米から進出している大学だけでなく、高校や中学があります。
その割には日本では話を聞かないと思っていたところです。
日本に海外の学校が来ない原因はおそらく複合的なものでしょうが、たとえば日本独自の市場、規制、競合、運営コストなどの障壁があるのだと想像しています。
しかし来年には岩手県の安比(あっぴ)高原にハロウ校がオープンしますし、再来年には柏にラグビー校ができます。
外国とつながりがある学校という意味では、すでにオープンしている軽井沢のUWC ISAKもありますね。
おそらく、まだ公開されていないだけで、ほかにも日本進出を計画中の海外校があると読んでいます。
これまでは日本国内では公立vs私立vsインターの三項対立の構図でしたが、これからはこの枠に収まらない新しい軸ができてくるのではないでしょうか。
ラグビー・スクール・タイランドについて調べてみた
ラグビー・スクール・ジャパンがどんなものになるのか予想するために、まず4年前に設置されたラグビー校の海外キャンパス=タイ校について、サクッとホームページで調べてみました。
サイトを回遊しながらすぐに思ったことですが、アジアの学校とは思えないほど(失礼)情報が充実していて、「しっかりしてはるわ〜」と感心させられるホームページでした。
なんと、以下の情報はすべてホームページだけで仕入れたものです。ただし()内は、私の補足です。
基本情報
- 学校名:Rugby School Thailand(ラグビー・スクール・タイランド)
- 所在地:Google Map
- HP:https://www.rugbyschool.ac.th/
- 学年:プレナーサリーからY13まで(日本の学年:2歳から高3)
- 入寮できる最小学年:Y3(日本の学年:小2)
- 性別:共学
- 創立年:2017年(イギリス本校は1567年)
- 敷地面積:80エーカー(東京ドーム7個分)
- 服装規定:あり
生徒について
- 生徒数:814名
- 男女比:男433:女381
- 寮生比率:16%
- 国籍数:64カ国
- 国籍比率:タイ43%、UK10%、UK/タイ6%、中国6%、韓国6%、ロシア5%、ドイツ2%、ドイツ/タイ2%、日本2%
2021年度の学費
- 費用体系・内訳:https://www.rugbyschool.ac.th/admissions/school-fees/
- 初年度一時金:出願料(application fee)、入学金(acceptance fee)、デポジット(deposit)、
- 毎年:授業料(tuition)、寄宿費(boarding fee)、英語補講代(EAL fee)、学生ビザ代(visa fee)
- 最高学年(Y13)の年間授業料:811,400THB(約270万円)
- 年間寄宿費(学年問わず):337,500THB(約110万円)
学業について
- 年間予定表:https://www.rugbyschool.ac.th/admissions/term-dates/
- 年度始まり:8月末
- カリキュラム:GCSE/IGCSE(中2〜高1)、A level(高2・3)
- ESL(英語補講):あり、English as an Additional Language (EAL)
- サマープログラム:あり
- 大学進学:イギリスだけでなく、オーストラリア、アメリカ、カナダ、中国、ロシア、日本、ドイツ、シンガポール、マレーシアへの出願も可能
入試・出願について
- 詳細ページ:https://www.rugbyschool.ac.th/admissions/application-process/
- 締め切り:年間を通して申込み可
- プロセス:
- 出願申込書を申請する
https://www.rugbyschool.ac.th/admissions/apply-now/ - オンラインまたは校内でのアセスメントの予約
- アセスメントの実施
- 合格通知
- 出願申込書を申請する
- アセスメント方法(学年にもよるけど、ここでは中1として):
- オンラインで完結します。
- アセスメントでは英語レベルや認知能力を見極めます。また、年齢や経歴なども考慮します。お子さんがラグビースクールに参加する準備ができていると判断した場合、入学許可を出します。
- 読み書き(literacy)、計算(numeracy)、推論(reasoning skills)の評価が行われます。その後、幅広い興味や性格を確認するための面接(interview)が行われます。学業以外の可能性や才能をさらに評価する場合もあります。
その他
- 海外からの寮生には、タイに保護者(Guardian)を置くことが義務付けられており、子どもが必要とするときにすぐに駆けつけられる人が必要
- 学校によるタイの学生ビザ取得の支援あり
タイ校のホームページで確認できただけでも相当な情報量でした。ここには挙げませんでしたが、サイト自体には写真やインタラクティブなキャンパスツアーなど、ビジュアルもたくさん載っているので、ぜひ見てみてください。
ラグビー・スクール・ジャパンはどんな学校になるのか
ラグビー・スクール・ジャパンのサイトはこちらです。
最新情報が入手できるようにメールリスト登録もできるようなので、気になる方はどうぞ。
今わかっている情報
サイトに掲載されているプレスリリースでわかることは以下の通り。
- 2023年の9月に千葉大学の柏の葉キャンパス内に開校予定
- 生徒キャパシティは750名
- Y7からY13(日本の小6〜高3)
むしろこれだけしかわからないので、タイ校のことも参考にしてみてください。
おそらくですが、ジャパン校も似たような生徒構成や入試方法や費用体系になるのではないでしょうか。価格帯はおそらく上がるでしょうが。
(2022/11/22に追記↓)
- 2022年12月11日(日)にキャンパスツアーが開催されるそうです。2022/11/22時点ではすでに満席ですが、2023年も開催予定があるそうなので、ニュースレター登録して待ちましょう。
2022年7・8月に北海道で実施されるサマープログラムの詳細
(2022/04/03に追記)
ジャパン校初めてのサマープログラムが2022年の7-8月に開催予定。
イギリスの本校から先生を招いて北海道で実施するそうです。
一般公開は4月中旬ですが、ニュースレターでは少し早めに情報公開されるとのこと。目が離せませんね。
(2022/05/17追記)
先日のニュースレターで、詳細が公開されていました。
ラグビースクールジャパンのサマー、その名も…
A Whole Person Whole Point Summer Programme
ラグビースクールのサマーは、北海道の日高町の敷地を使って開催されます。
以下の2種類のコースから選びます。どちらのコースにも、ラグビー、乗馬、その他の野外アクティビティあり。
日程:2022年7月25日~2022年7月30日(5泊6日)
対象年齢:9歳~15歳(参加時点での年齢)
英語力:ネイティブ並み
費用:税別300,000円
日程:2022年8月1日~2022年8月6日(5泊6日)
対象年齢:9歳~15歳(参加時点での年齢)
英語力:ネイティブ並み
費用:税別300,000円
申し込みは2022年5月20日に受付開始予定だそうです。
詳細はRSJサマーの公式ページで。
>>国内外のサマースクールに参加してきた私が数あるサマースクールの選び方を解説しています
親は冷静であれ
ラグビー・スクール・ジャパンの開校時期が近づくにつれて、もっとわかることは増えていくと思います。
また、今後は日本でのボーディングスクールが増えてくると思います。そこには愛知の海陽学園や国際高等学校のような国内発祥のものも、ハロウ校やISAKのような海外発祥のものも含まれます。
ボーディングスクールは、日本人だけでなく世界中の人が対象となる学校です。
勝手な予想ですが、アフターコロナには日本に来る外国人が増えます。近年の海外校による日本進出は、そうした人たちの動きも計算にいれているような気がしてなりません。
日本は海外に比べて遅れている、という考えを持っているひとからすると、これはチャンスのように移るかもしれません。海外に行かなくても、日本国内で体験ができるようなものだから。
ただそれは同時に、子どもが若いうちから海外の人と渡り合っていく選択をするということでもあります。
それには、いい面も悪い面もあるんです。
日本でぬくぬく育つことで守られている部分や、日本にいることでしか引き継げないものがあると私は考えています。
そしてなにかと叩かれがちな日本の教育ですが、そこにもちゃんと良さがあると思っています。まだしっかり言葉にできるわけではないのが、難しいところ。
新しい学校・海外の学校というだけでワクワクするのもわかりますし、それも悪いことではありませんが、私個人としては新しい学校ほど様子を見ていたいタイプです。実は親としてのスタンスは、割と保守的な私です。
その新しい学校は、本当にもとめているものなのか?そこじゃないとだめなのか?
逆に従来の選択肢でしかできないことはないのか?
なにを選んでも機会損失は発生します。冷静に見極めたいですね。
これからの日本の教育事情
今後、あっという間にこれまでの公立vs私立vsインターの三項対立に「国内ボーディングスクール」などの第4の軸が加わることでしょう。
そうなってくると、これまでの「通学できる範囲」での学校選びから「日本国内」に選択肢が広がります。もうすでに始まっていますけどね。
さらに、中学・高校にはオンラインスクールも世界的に増えています。するとたちまち「日本国内」から「世界中」に選択肢が広がるのです。
でも唯一の壁があります。それは、語学力です。
(お金も壁ですが、すべてではないにしろ奨学金やローンなどの手段が残されています。そうした情報は日本語以外でも検索できると有利です。無いと始まらないのが語学力だと考えています)
これからの教育の選択肢は、語学力のレベルによって左右されます。それも、子どもだけでなく親もです。そして、進路指導の先生もですね。
子どもが一人だけ英語ができたとしても、教育の選択肢を調べたり判断をしたりするのには、限度があります。これは、純ジャパ家庭でバイリンガルに育てられた私の意見です。
私は普段、子どもに(めでたく)英語力を追い抜かれた保護者からの子育て・進路・教育相談をよく受けています。このような仕事をする方もこれから増えていくのではないでしょうか。