かつてアメリカと日本の大学に通い、今は教育業界の隅っこで自営している私の個人的なつぶやきです。
そもそも大学って必要?
突然ですが、一人の若者が、貴重なお金と時間をかけて、大学の卒業証書を得に行くのはなぜでしょう。
大学全入時代とかいわれますが、全員が大学になにがなんでも行きたいわけじゃない。
大学という時空間に夢を抱けないのは、別におかしなことではありません。
まず、お金も時間もたくさんかかる。
かつては私も「大学で4年の縛られるのは長すぎる」と思っていたタチなので、これは本当に大事な問題です。
すでに小学校から高校まで12年間、学校生活を送ってきているのにさらに4年間とかもう限界、と割と本気で思っていました。
幸い、最近はマイクロクレデンシャルという概念も生まれて、それなりに発展もしてきて、既存の大学の存在を脅かしつつあります。
それまでは、大学で1ヶ月学んでも、3.9年学んでも、卒業前に辞めてしまったら「中退」でした。
でも、自分で自分のカリキュラムやペースを設定して、アラカルト的に高等教育を履修していくのもいいじゃない。
あるいはオーストラリアのサーティフィケートやディプロマみたいに、大学で得られる学位ってもっと分割されていていいじゃない。
今後は、ますます「大学」の提供する「高等教育」の様態が変わっていくのだと思います。
もう、かつての私のように「大学に行く=未来の4年間を捧げる」みたいに深刻にならなくてよくなるんじゃないかな。
「勉強したいことがない」問題
私も例にもれず「専門として学びたいこと」はありませんでした。
仮にでもなにかあれば「○○に強い大学」とかで絞り込めたんでしょうけどね。
私のアメリカの大学受験直前、母と一緒に行った学問の神様を祀る神社で絵馬に書いたのは「私に合った大学に入れますように」でした。
当時の私は、自分が大学を選ぶのではなく、(私に合っている大学なら)大学が私を選んでくれると思っている節がありました。
でも、その絵馬はなんとなく母に見られないほうが良さそうだと17歳の私は感じていました。
そんなふうに母に後ろめたいと思うくらい、私には大学で学びたいことがありませんでした。
とはいえ、手に職も心に大志もたいした人脈もなかった当時の私が経済的自立を得るための道筋として、やはり大卒というステータスは必要に思えました。(あくまで私の時代、私の状況)
裏を返すと、今の時代、手に職AND/OR心に大志があって、まともな大人に導いてもらえるなら大学にすぐに行かなくてもいいと思っています。
どれもなかった私には、今思っても、大学に行っておいてよかったと思います。
教育学部は成り行きで選びました。卒業に必要な単位数のうち、指定科目の割合が一番少なかったからです。
さらに私は教職課程もやらなかったので選択科目も選びやすかったです。
私は大学4年になっても教育学部の授業は最低限、ほかは農学部や文学部、経済学部など、つまみ食いを続けていました。
結局、卒業しても「一応、教育学部卒」。同じ学部やゼミの人の名前はひとりも覚えていません。幽霊学生でした。
私が大学で得られたのは「大卒」ステータス、東京の一人暮らしとバイト三昧で得られた経験、友人、新卒採用です。
「大学」ではなく「大学生活」に何を求めるか
私が大学生時代に得られたもの第1位。
それは、バイト三昧の生活でした。
何を隠そう、私がアメリカの大学を1学期でやめて日本の大学に入り直した理由も、ひとことで言い表すと「バイトがしたかった」からです。
でも私にとって、アメリカの大学生活は(自分的に)学業優先、(ビザ的に)自由に働けない、(車もお金もなくて)移動の自由が少ないというものでした。
今でこそ「もっと考えて大学を選んでいれば、アメリカにも合う環境があったのかも」と思いますが、あとのまつり。
私は窮屈な(と感じていた)アメリカの大学生活を逃れて、日本の自由な(と感じていた)大学生活にシフトしたわけです。(普通は逆)
そのおかげで、いろんな業種のアルバイトやインターンやボランティアに参加しまくれて、休みには世界を旅行できて、悔いのない4年間を過ごせました。
日本の大学では、やりたいことがたくさんできました。いい使い方をしたと、自分でも思います。
そんな自分の大学生活を振り返るたびに、私の人生のテーマには結局いつも「教育」がついて回っていたことを実感します。
私が「教育学部卒」なのは、ただの偶然ではないのでしょう。
大学生というステータス
ここまで、私にとっての大学の意味について語ってきました。
それでも大学に行く理由がわからない。それでもいいです。
最後にこれだけ付け加えさせてください。
「大学生」というだけで、いろんなアルバイト、ボランティア、インターンに参加することができます。就活に絡めて企業訪問も自然にできます。4年間も社会勉強ができます。
「学割」も使えます。交通機関、入場料、購読料、探せばお得な情報いっぱい。
そしてそして、「学生ビザ」というのは最強の通行手形です。海外で合法的に長期間住めます。
まだ身軽なうちに「学生ビザ」カードを利用して憧れの地で生活してみるのは、おすすめです。
>>こんな考え方もあります。私の進路は「コスパが悪かった」、でもそんな進路も悪くないと思えた本