最近”インターナショナルスクール”、”インターナショナル・プリスクール”、”キンダーガーデン”と呼ばれる乳幼児施設が増えているように感じます。
この記事でいう乳幼児施設とは、ざっくり未就学の子どもが定期的に通う教育・保育の施設とします。
私の弟と妹は、もう20年以上も前ですが老舗インターのモンテッソーリ幼稚園に通っていました(私はそのインターの小学部から編入しました)。
そして、時を経て親になった私は、過去に複数の英語の乳幼児施設で働いていたことや、子どもを”インター”乳幼児施設に預けていたことがあります。
“インター”と呼ばれている乳幼児施設は、ここ数年増えています。
でも、施設によって”インター”の定義がぶれていることにお気づきですか?
インターっぽい施設は必ずしも同じ教育様態や目的やカリキュラムを共有していません。
もう一度書きます。
あなたの考える”インター”と、検討している”インター”が同じものを指しているとは限りません。
インターを運営しているか、これから立ち上げようとしている経営者の方。
インターに子どもを行かせている、もしくは検討をしている保護者の方。
“インター”と呼ばれる乳幼児施設は、すべて同じカテゴリーでくくれないほど多様化しています。
このことを理解しないで選ぶと、あとで後悔するかもしれません。
そもそも”インター”についてイメージを固められていますか?
大事な子どもを預ける乳幼児施設にはなにを期待して、逆になにを諦めるべきか、家庭内ですり合わせができていますか?
万人にとって同じ正解はありませんが、最低限の知識として知っているべきことがあります。
なお、インターの「小学校」については、この記事では触れません。もしインターの小学校に興味がある方は、私のインター在籍体験談の記事へお進みください。
インターを見分けるための基礎知識
ここでは”インター”として知られている乳幼児教育施設を、“伝統的”な施設と、“新興系”の施設にわけます。設立数の統計をとっているわけではありませんが、”新興系”が多い印象です。
わかりやすくするために二通りにわけますが、実際はここまで極端に振り切ることはなく、両方の特徴を持っていることもあります。ただ、学校ごとにその配分や程度が変わってくるはずです。
また、”伝統系”と”新興系”、どちらが良い悪いの優劣の区別ではありませんことを強調します。
“伝統系”インターの特徴
- 立ち上げ当初の目的は外国人の子どもを教育するため
- そもそも数が少ない、希少な存在
- 校長や教頭が外国人
- お知らせがすべて外国語(日本語訳がついていても、つたなかったり最低限だったり)
- 親同士の共通言語は外国語
- 学校や先生とのやりとりは外国語
- 日本語教育が全くないか少ない
- 先生が教育・保育関連資格もしくは修士以上の高学位をもっていることをアピール
- ホームページがちょっとダサい、でも英語のみ
- 附属の小学部がある
- 長い夏休みがある(サマープログラムを用意していることもあります)
- 3時くらいまでには終わり、そのあとの延長保育がない
- 英語が上達することよりも、プログラム内容や理念をアピール
- 純ジャパかつ海外在住経験なしだと入りにくい
- 宗教法人や非営利団体、学校法人が運営していることが多い
“新興系”インターの特徴
- 立ち上げ当初の目的は日本人に英語を教えるため、もしくは優れた海外の教育・保育手法を日本で実践するため
- 最近よく目にする気がする
- 校長や教頭がネイティブ日本人&英語レベルがビジネス以下
- お知らせがすべて親切丁寧な日本語で来る
- 親同士の共通言語が日本語
- 教師との面談は日本語、もしくは通訳付き
- 先生がネイティブであることをアピール(資格や経歴は二の次)
- 英検などの合格実績をアピール
- バイリンガルやグローバルな子どもを育てることをアピール
- ホームページがイケている、日本語の説明が豊富(でも英語説明が少ない)
- 運営母体が株式会社であることが多い
“伝統系”も”新興系”、どちらにも良し悪しがあります。
ちなみに我が子が一時通っていた園(複数)も、私が昔働いたことがある園(複数)も、”新興系”です。私の弟と妹は”伝統系”に通っていました。
繰り返しますが、実際はここまで極端に振り切ることはなく、両方の特徴を持っていることが多いです。ただ、学校ごとにその配分や程度が変わってくるはずです。
そしてこれも繰り返しですが、“伝統系”と”新興系”に優劣があるわけではありません。
あんこを食べるときに、つぶあん と こしあん の違いをわかったうえで食べてほしい、そんな気持ちで書いています。
“伝統系”に行かせているつもりで、”新興系”に行かせていませんか?
逆に”新興系”に行かせているつもりで、”伝統系”に行かせていませんか?(これは少ないかな)
この違いをわかっていないと、学校への期待値が違って残念な気持ちになったり、遠回りしてしまうかもしれません。
参考図書(2021/05/16追記)
読者さんより『インターナショナルスクールの世界』(櫛田健児、2013)という本をご紹介いただきました。
このなかでも「新設インター」と「老舗インター」というくくりで似たことがより詳細にかかれています。
私も早速読んでみましたが、著者の問題意識に共感しております。
この本から「インターに求める情報開示十か条」をインターナショナルスクールで確認すべき項目としてご紹介します。
インターナショナルスクールで確認すべき項目
- 運営形態とガバナンスの仕組み
- 財務状況・使途
- 教師、生徒の回転率
- 教師、アドミニや運営者の資格
- 教師採用ルート
- 学費以外のコスト、補習校の有無と位置づけ
- 教師の賃金水準
- 生徒の進学先
- 学校から見た長所と課題
- 国際認定組織が示した長所、短所、課題
それぞれの項目の説明も、本のなかに書かれています。
Kindleでしか販売されていないようですが、インターについて知りたい方はぜひご覧ください。
そもそもの乳幼児施設の選び方
もし子どもを英語環境に置きたいのであれば、上記の”伝統系”や”新興系”のいずれでも達成できると思います。
でも大事な子どもを預けるにあたって、私が考える最低限チェックすべき点を挙げます。
- 行政に認知され、設置基準を満たしているか
- 施設見学やトライアルをして、清潔感・安全性・雰囲気を確認したか
- 経済的・立地的・時間的に無理しなくても継続して通えるか
- その他、家庭の方針で譲れない条件を満たしているか
初めて施設探しをされる方に言いたいのは、すべてが理想通りの施設にはそう簡単に出会えないということ。
施設、子ども、家庭のそれぞれの協力と努力があって初めて子どもが発育する環境が完成します。裏を返すと、そのどれかが恒常的に欠けてしまうようであれば長い目ではベストフィットではないです。
我が家では長男が就学するまでの6年間だけでも複数回引越しをしているので、そのたびに見学、入園、退園を繰り返しています。最終的に理想から削ぎ落とされ、我が家で大事にしたいことが残り、それが濃くなっていきました。それについては、こちらの記事にて紹介しています。
保育園・幼稚園だけでその子の一生は決まりません。そういう意味で、流されすぎずにしっかり見極めて決めてくださいね。