私費留学は富裕層だけのものではありません。早めの情報収集がものをいいます。
今日は、そんなちょっと夢のあるお話です。
そもそもボーディングスクールって何?という方はまずこちらの記事で確認してください。写真を交えて解説しています。
一般的にはボーディングスクールの学費と寄宿費だけで、カナダだとCA$5万台、アメリカだとUS$6万台かかります。これは一年分のお値段です。
私もアメリカのボーディングスクールに4年間行かせてもらいましたが、さすがに全額は払っていません。在学中は、返済不要の学費援助(Financial Aid)を学校から頂いていました。
ちなみに母に訊いたところ、私は学費の45%を頂いていたそうです。(私が在学していたのは2000年代で、それから学費は値上がりしています)
学校が公表している学費は、表向きの金額です。
非富裕層が私費留学先を決めるときは、留学生対象の学費援助の有無や手厚さ、手続き等を確認する必要があります。
留学なんて、ただでさえ調べたり考えたり決めたりすることが多いのに、こうも複雑になると諦めて国内だけに的を絞りたくなるのもわかります。
でも、せっかく留学やボーディングスクールに興味をもったのに、調べるのが面倒で諦めてしまうのはもったいないです。ボーディングスクールは、決して富裕層エリートの特権ではありません。志した人には道が開ける可能性があるんです。
そこでこの記事では、アメリカやカナダのボーディングスクールにある留学生向けの奨学金について書いています。自力で調べてみたい方の助けになる情報も載せました。
大学などの高等教育機関の学費や奨学金については、ここでは触れていません。また、イギリスやオセアニア、アジアにも留学できるボーディングスクールはたくさんありますが、一旦割愛します。
まずは用語説明
日本では一般的に”奨学金”という言葉が多い気がしますが、実際の学費援助にはいろんな枠組みがあります。
この記事では、学費援助を表す用語を以下のように区別して使います。
学校によって、財政援助と奨学金を両方実施している場合、片方のみの場合、いずれも実施していない場合があります。
また、なんらかの学費援助策があっても、留学生が対象に入らなかったりなど、適用条件が細かくあるのでよく確認する必要があります。
第三の学費援助の仕組みとして学生ローンもありますが、この記事では触れないので割愛します。
いきなり実例:アメリカのボーディングスクールの場合
北米に留学を考えている方には、ここからちょっと夢のある話が続きます。
まずは試しにこちらのGroton SchoolのFinancial Aidの実績をご覧ください。
出典:https://www.groton.org/admission/tuition–financial-aid#
このGroton Schoolとは、アメリカにある8~12年生向けの寮制高校で、アイビーリーグなど名門大学にも卒業生を排出している大学準備校です。
こちらの生徒の42%はなんらかの財政援助を受けています。これは多い方です。また、全生徒が対象(つまり留学生も)です。
Groton Schoolでは生徒の世帯所得に応じて援助額が決まります。
上記の表では、2018年度の学生のうち、2017年の世帯所得がUS$8万以下だった学生のうち37名が補助を受けており、そのうちの学費支払いがUS$1万以下だったのは28名です。世帯所得がもっと高くても、そこそこの人数と金額の補助が出ています。
これを見る限り、日本の私学に子どもを送れる家庭であれば、ボーディングスクールも手が届きそうな気がしませんか?
実際に入学出願+補助の審査申し込みをするまではどうなるかわからないのが焦れったいですが、このような学校を複数集めたら、どれかとマッチングする可能性は高いのではないでしょうか。
他にもないか調べてみた
試しに、”留学生”もしくは”すべての生徒”を学費援助の対象としていると明記している学校が他にもないか、調べてみました。
すると、ざっと見ただけでこんなに。
◇カナダ(数字は入寮できる学年)
Unisus School, 8-12
St. Michaels University School, 8-12
Albert College, 7-12
Appleby College, 7-12
Rosseau Lake College, 7-12
Brookes Westshore, 6-12
Stanstead College, 7-12
Bishop’s College School, 7-12
Ridley College, 5-12
Queen Margaret’s Schol, 6-12(援助は8年生以上)
Rothesay Netherwood School, 6-12
King’s Edgehill School, 6-12
◇アメリカ(数字は入寮できる学年)
Groton School, 8-12
Oldfields School, 8-12
Rabun Gap-Nacoochee School, 7-12
アメリカよりもカナダのほうが多く見えますが、調べ方次第では数は増減しますので、必ずしもアメリカの選択肢が少ないというわけではありません。
もしどうしても北米のボーディングスクールに留学がしたいけど費用を抑えたい方は、まずは出発点として上記の学校から見てみるのがいいかもしれません。
学校について調べるときは、学校HPやSNS、Youtubeなどが比較的活用しやすいと思います。
その年度や学年ごとに方針が変わることが充分ありえますので、実際は候補をたくさんもったうえで、各校と密に確認しながら少しずつ進めていくことになります。
正規留学の前には、できる限り現地訪問もお勧めしています。その理由はこちらの記事に。
自力で調べるときに便利なキーワード
学校HPなどで調べるうえでの検索に便利なキーワードを一部記載しておきます。
この手の情報は結構時間も手間もかかります。まずは誰かに相談してみたい方は、私のメール相談はこちらから。
私が参考にした学校一覧のリンク集
最後に、私がこの記事を書くうえで実際に参考にした学校一覧へのリンクです。援助が手厚いとされる学校集です。
◇カナダ
https://www.ourkids.net/private-school-financial-aid.php
https://www.ourkids.net/financial-aid/
◇アメリカ
https://www.boardingschoolreview.com/top-twenty-schools-listing/endowment-per-student
今回は調べていませんが、他の国でも、広く知られていないだけで学費をなんとかする方法が眠っているはずです。
早めのうちから情報収集と準備を始めるだけで、とても有利に働きます。
学費援助に関する情報収集だけでなく、子どもの語学や興味関心の発掘発展、学校成績の維持などにも日頃から取り組んでおくことで、学校から欲しがられる生徒になっていると、より可能性が広がります。
ちなみに我が家では、将来子どもが行きたいと思える場所に”欲しがられる”ことを期待して子育てを実践しています。
親の英語力は情報収集の効率を高めてくれます。
まずはアメリカのボーディングスクールや私立校で行われている教育について知りたい方向けの本。
タイトルには「エリート教育」とありますが、実際に体験した私の持論では必ずしもエリートを育てる教育ではありません。
イギリスの寄宿校(パブリックスクール)についてはこちらなど。