日本Amazon育児本ベスト8に引き続き、アメリカAmazonの育児本ベスト5をご紹介します。
売れている本は、どんな情報や話題や著者がアメリカの読者に注目されているのかを知る手がかりとなります。
日本とアメリカのAmazonはカテゴリ分けが異なります。
この記事では「就学児のペアレンティング(School-Age Children Parenting)」という育児本カテゴリを継続的にウォッチすることにしました。
「ペアレンティング」とは、親として子どもを育てることで、日本語では「育児」や「子育て」が近い言葉になります。
なので、「ペアレンティング本」というと「育児本」に近いものとなります。
今回は、2021年6月1日時点のベスト5を、あれば訳本や関連図書とともにご紹介します。
海外の教育・子育て事情が気になる方には面白がっていただけるのではないでしょうか。
このランキングは4月から毎月一回やっています。
同時期の日本のランキングと見比べる楽しみ方もあります。
アメリカAmazonの育児本ランキングTOP5
早速見てみましょう。
1位 子どもに愛が伝わる5つの方法
しかも2016年に出版されていますから、もう5年経っているのにこの人気です。
著者は作家でラジオパーソナリティのゲリー・チャップマン(Gary Chapman)さん。
“5 Love Languages”ーつまり「5つの愛の言葉」というキャッチフレーズで、親子や夫婦などの人間関係の本を多数出版されています。
日本語訳でも読めます。
なぜか画像が出ないので、訳本の画像を貼っておきます。
原書と訳本って、表紙のデザインが全然違うときが結構あります。出版にまつわる大人の事情もあるのでしょうが、ここまで違うと面白いです。
子どもによって、伝わりやすい愛情表現(「愛の言語」ともいう)が違うそうです。この本では、5種類の愛情表現を解説しています。
その5種類とは、
- スキンシップ(Physical touch)
- 肯定的な言葉(Words of affirmation)
- 充実した時間(Quality time)
- 贈り物(Gifts)
- 尽くす行為(Acts of service)
の5つです。
どうせ伝えるなら、子どもが受け止めやすい方法がいいですよね。この5種類を使い分ければどんな子でも家族の愛をより深く感じられるとの触れ込みです。
子どもがどの「愛の言語」をつかうかを知るためのテストも掲載されています。
2位 「言い聞かせる」をやめればしつけはうまくいく!
まだ3ヶ月しか追っていませんが、こう変化がないとカテゴリを変えるか広げるかしようと迷いが生じます。まだ変えませんが。
著者は臨床心理学者のトーマス・フェラン(Thomas W. Phelan)さんで、ADHDや子どものしつけ法の専門家として知られています。
この本では、2歳から12歳の子どものしつけが必要な場面ですべきことやしてはいけないことを網羅しています。
日本語訳でも読めます。やっぱりデザインが違って、同じ本とは思えません。
すべての親子に通用するしつけ法はないでしょうが、いろんなやり方をインプットしておくと、どこかで役に立つかもしれません。
3位 現代の子どもたちへのポルノ対策
1位の「愛」から2位の「しつけ」ときてから急に「ポルノ対策」です。
これがすなわち現代アメリカの保護者の関心ではないにしても、こうして並べるとなんだか居たたまれないですね。
こちらは4月に4位で登場して、今回返り咲きました。
著者は、対ポルノ教育のサイトを運営するKristen Jensonさんと心理学者のGail Poynerさんです。
この本ではポルノとはなにか、なぜ危険なのか、回避する方法をどう子どもに説明するかを保護者に伝えます。
現時点では和訳本がないのが残念です。
このデジタル時代にポルノに抵抗できる子どもを育てるための実践的なアドバイス、私だったら読みたいです。
現在子育て中の方には切実な問題です。
本屋さんやコンビニでは、子どもの目に触れる位置に有害な画像が溢れています。インターネットでも、広告やリンク先に危険が潜んでいます。
でも、なにがどうして有害なのか、改めて問われるとうまく説明できる自信がありません。ましてや、有害な情報に触れたときにどう対処するのが正解なのかも、わかりません。
こうした問題と対策に関する保護者向けの本は、日本ではまだ聞いたことがありません。まだフィルタリングなど端末での水際対策くらい。
もっと踏み込んで事前知識として教えるとなると、性教育やメディア・リテラシーのジャンルになるのでしょうか。
日本でまだ確立されていないのは、そこまで問題がないだけなのか、他に深刻な問題があるからなのか…
このあたりは家の本棚に置いておいてもいいかもしれません。
有害な情報を完全にシャットアウトはできませんが、正しい知識と対処法を身につけることで防げるダメージはあると思います。
早すぎて損することはありません。
4位 子どものためのブラック・ヒストリー・ブック:古代アフリカから現代のアメリカまで
こちらも、2ヶ月前に5位で登場していました。アメリカらしいテーマです。
アメリカ、エジプト、イギリスなど、世界各地で活躍した歴史上および現代の51人の黒人リーダーやロールモデルが紹介されています。
著者は歴史学者のArlisha Norwoodさん。
Kindle Unlimitedでも読めます
人種やマイノリティに関する問題抜きには語れないアメリカ社会と歴史。それだけ国民の関心も高いです。
最近の言い方だと「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」や「Diversity, Equity, and Inclusion(DEI)」などでしょうか。多様性・公平性・受容を広く実現しようとする動きです。
その動きは日本にもあります。
でもこの本が象徴するように、これまでスポットを浴びてこなかったけどスポットライトに値する功績を残したひとたちを讃えたり、これからの世代にポジティブなメッセージを発信し、さらにエンパワーしていくような動きも増えてきているように感じます。
たとえばこのような本は、異文化理解、多様性や受容の話です。
さらに進んでエンパワーするのは例えばこういう本です。
日本語で探すと、女の子/女性向けのエンパワーメント本が精一杯でした(汗)
アメリカも日本もそれぞれの経緯と社会があるので、別にどちらが進んでいるとか遅れているとかはありません。
ただ同じ時期の日本とアメリカの出版状況や売れ行きを比べることで、似ているところと違っているところ、両国の特徴を感じていただけると思います。
5位 感情のチカラを解き放て
ここに来てやっと(私のランキングでは)初登場の本です。
直訳すると、「感じることを許可する:感情の力を解き放ち、子どもたち、私たち自身、そして社会が成長するのを助けるために」です。
著者は、米イェール大学のチャイルド・スタディ・センターの教授であり、イェール大学感情知能センターの創設者でもあるマーク・ブラケットさん。子どもや大人の感情の科学者です。
アメリカAmazonのページによると、多くの子供や大人が感情を恥じたり苦しんだりしているが、それは感情を取り扱うスキルがないだけであって、本来は苦しむ必要はないそうです。そのスキルについて書かれている本だそうです。
この本も翻訳されていませんが、いずれされるかもしれませんね。
似た本を日本語で検索するとすれば、キーワードは「emotional intelligence」の略語の「EI」や「EQ」、和訳表現である「心の知能指数」や「感情知能」など。
近い概念では「感情マネジメント」や「感情コントロール」でしょうか。抑え込むニュアンスが入ってしまい、ベクトルがずれるかもしれませんが。
EQについての本は、こちらが本家ですね。
EQx子育てでは、こちらがあります。
子どもと読むならこういう本。
探してみると、あるものですね。特に最後の2冊は気になります。
感情は日常のものなのに、言葉で表したり変化に敏感になれるほど知らないし、わざわざ習いませんよね。
でもあえて感情について学ぶことで、自分や他人を理解したり、生きやすくなったりして、QOLが上がりそうな気がします。
まとめ
2021年6月1日時点のアメリカAmazonの「就学児のペアレンティング(School-Age Children Parenting)」という育児本ジャンルの売れ筋TOP5と関連本をご紹介しました。
後半は訳本がなかった分、関連本紹介に熱が入ってしまいました。(だって楽しい)
このシリーズで初登場したのは5位だけでした。日本のランキングにも常連本はありますが、アメリカのランキングはなかなか入れ替わりませんね。
4位でもコメントしましたが、アメリカも日本もそれぞれの経緯と社会があるので、比べることでどちらが進んでいるとか遅れているとか、優れているとか劣っているとか、判断はできません。
ただ同じ時期の日本とアメリカの出版状況や売れ行きを比べることで、似ているところと違っているところ、両国の特徴などを感じていただけると思います。
今のところ私も楽しくランキングを作らせてもらっているので、皆さんも面白がってもらえると嬉しいです。
次回のランキングもお楽しみに!
こちらは日本アマゾンの育児本ランキング↓