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【経験談】年間300万円するアメリカのボーディングスクールを卒業した日本人が質問に答えます

ボーディングスクール
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アメリカのボーディングスクールに9年生(日本で言う中3)から12年生(日本で言う高3)までの4年間通って卒業した私の経験をご紹介したいと思います。

あくまで当時の情報ですし、私の主観も混じっているので、入学・転校・進学するときはどんな情報も鵜呑みにせずに、いろんな情報源を使って、きちんと多角的に調べてくださいね。

どのボーディングスクールに通っていたの?

アメリカの北東部にあるマサチューセッツ州の郊外にある、Northfield Mount Hermon School(通称NMH)という4年制のボーディングスクールに通っていました。

最寄りの大都市は、ボストン。
最寄りといっても車で2時間かかりますが。

2019年秋の様子

創立は1879年。日本では明治12年。

今年で145周年ですね。アメリカ北東部では特に珍しくない古さです。

ちなみに日本では朝日新聞の創刊も同じ年だったそうです。

創立当初は男子校と女子校の2つのキャンパスに分かれていたそうですが、創立後100年くらいたってから男女共学になりました。

男女共学になってからも、しばらく2つのキャンパスを併用しておりまして、私が在学していたのはその頃です。学内バスで川を越えて15分ほどかけてキャンパス間を往復していました。

キャパも大きかったので、生徒数も今の約2倍の1200人ほどいました。比較的大きめのボーディングスクールでした。

私が卒業した2005年に2つのキャンパスを1つに集約したので、今は生徒数が600人台という、よくあるサイズ感の学校になっています。

私は日本のインターナショナルスクールに8th gradeの終わり(日本の学年でいう中2の1学期の終わり)まで通い、2001年の8月、14歳のときにNMHに入学しました。

ボーディングスクールの概要

学費はいくらだった?

ボーディングスクールにかかる費用は、以下のようなものがあります。もちろん学校によって他にかかったり、かからない費用もあります。

  • Tuition(学費)
  • Room and Board(寄宿費)
  • International Student Charge(留学生の手数料)
  • Insurance(保険)
  • School supplies and materials(教材費)
  • Travel expenses(年に何回かの帰省に係る費用)

遠い記憶を掘り起こしてですが、私がいた当時(2001年〜2005年)は学費と寄宿費で$30,000台でした。
超ざっくりの1ドル=100円換算でも、300万円台だったということです。

これが一年の学費と寄宿費です。他にもかかる費用はあります。ぶったまげますね。

ところが、2019年現在のNMHの費用を確認すると、値上がりしていました。

今の学費と寄宿費はなんと、$65,500(単純換算で655万円)!!

はい、なんと私がいた頃の約2倍です(インフレ率いれると約1.5倍らしいです)…
繰り返しますが、これで1年分です…
毎年、外国の新車買えます。
しかも毎年値上がりします。

ちなみに、日本でおそらくトップの全寮制の海陽中等教育学校の1年の費用は、授業料・施設維持費・寮費・食費込で276.6万円(2019年度)でした。

アメリカの私立寮制校の費用のおかしさがわかると思います。

私の学費は全額払っていませんけどね

もちろん、私が通っていた時代の年間300万円台の学費はうちでは全額払えませんでした。私は、返済不要の学費援助を学校からいただいていました。学費と寄宿費の45%ほどをもらっていたそうです。

海外の私教育の特徴だと思いますが、私がいた当初から奨学金や助成金の選択肢があります。

留学生向けのものになると選択肢は絞られますが、全く望みがないわけではありません。ちょっと調べただけでも、アメリカのトップボーディングスクールでは一定の所得水準以下の子は無料で入学できる、とありました。もちろん、入試は普通にあるのであくまで合格ができれば、ですが。

アメリカ以外の国にも目を向けると、選択肢はさらに広がります。うまく行けば、日本の私立に行かせるよりもお得な選択肢が見つかるかもしれません。

私も子どもが興味を持てば送り出したいと思い、今から国内外の奨学金情報にアンテナを立てています。

>>アメリカやカナダのボーディングスクールの奨学金を調査しました

日本人は他にいるの?

日本人生徒の一部(後ろで一番背が高い人は先生で、日本人ではない)

私がいたときは日本人が十数人いた気がします。全体人数に対する割合としては決して多くはありませんが、まぁ孤独に感じない程度ですね。

9年生から入った日本人は私だけでした。だいたい10年生の交換留学生として1年だけ在籍する子か、10年生から卒業までいる子が多かった記憶です。

記憶があいまいな理由は、私が日本人とたくさん時間を過ごしていないからです。

ただ日本人だとお互いに認識はしていて、たまにすれ違うと挨拶するくらいの距離感でした。

飛行機でたまたま隣の席に!とか、日本に着いて荷物を待っていたら隣に!とか、大学時代に就活説明会でばったり!とか、国連英検の受験会場でまさかの!みたいなハプニングはたまにありましたね。

海外出張先で遭遇。会えばはしゃぎます。

こんな偶然に頼らずとも、日本にいる卒業生でたまに集まったりしているみたいです。私は呼ばれたり呼ばれなかったり、行ったり行かなかったりです。

他の国の卒業生のほうが、結束は強そうな印象です。

他にはどんな生徒が通っていた?

やはりアメリカ北東部出身の裕福な白人系アメリカ人が多いですね。

見た目だけでは国籍までわかりませんが、アフリカ系、アジア系、中東系、ネイティブ・アメリカン系、いろんなミックス系、などなど。

海外からの留学生は約25%とも言われていました。確か今もそれくらいで維持しています。

今は知りませんが、当時のNMHは多様性にかなり力を入れていました。(その割には校長は私の在校時からずーっと白人男性だよね、と思うことはありますが)

久しぶりに会ってもすぐに意気投合できる自信がある仲間

多様性は、国籍や見た目に限りません。

私がLGBTQについて身近に知ったのも、NMHのおかげです。2000年代初頭、すでに当たり前のように受け入れられていました。

宗教もいろんなものがありました。カトリック、プロテスタント(その流派も様々)、イスラム、ユダヤなどなど。

NMHはボーディングスクールらしからぬ自由な風土もあり、普段から靴を履かず裸足で過ごしていた人もいましたね。まだちょっと1970年代のヒッピー文化を引きずっていました。今はさすがに違うかな、どうでしょう。

とにかくそれはそれは多様で、それが良しとされる環境でした。個性を出せないとかえって肩身が狭く感じてしまうほど。

普段よくつるむメンバーは共通点が多い人達かもしれませんが、それでも他のグループと壁ができるわけでもなく。お互いをリスペクトして授業中や部活や課外活動など、仲良くやっていました。

日本人少なくていじめられないの?

よく聞かれる質問ですね。

まず、日本人以外にも中国人・台湾人・香港人・シンガポール人なども学校にいて、アジア系人種はその他の人種からみたら同じに見えるようです。

とはいえ、日本人・アジア人だからといって、いじめられることはありませんでした。(私が鈍感なのかも?)

が、やはり見た目である程度のフィルターをかけられることは事実です。

例えば、「日本人・アジア人だから、数学はできて当たり前だよね」と、数学ができない人にとっては不利に働くフィルターもあれば、

「日本人・アジア人なのに、演劇で役が取れるんだ!(日本人ってシャイかと思ったけど、堂々と人前に立てるなんて)すごい!」と好意的に働くフィルターもあります。

要はバイアス、色眼鏡、偏見ですね。

ポジティブにもネガティブにも振れないように、あえて「フィルター」という語選をしています。

日本でも、こういう見た目フィルターはあります。

分厚い眼鏡している人はスポーツできなそう、とか
髪の毛染めていない人は真面目そう、とか。

でも相手のことを知れば知るほど、付き合いが長くなるほど、相手のイメージに占める見た目の割合って、少なくなってくるはず。

仮にボーディングスクールでいじめられるとしたら、私の経験上、それは多分、人種や見た目だけの問題ではないです。

なにか他の理由か誤解が双方のいずれかにあったり、そうした状況を醸成しやすい環境だったりするのだと思います。

“完璧な学校”は世界中どこを探してもありません。見た目だけでなく宗教観や思想や文化の背景、習慣もちがう人たちに揉まれる環境がボーディングスクールです。そこでは、あらゆるトラブルへの対応も学びます。

>>学校に抱くべきなのは理想でも幻想でもなく、覚悟です。

どんな人とよく過ごしたの?

私が4年間一番長く過ごしたのは、1年目に偶然ルームメイトになったニューハンプシャー州出身の白人系アメリカ人でした。

よく遊んだ女友達は、

  1. ルームメイトの白人系アメリカ人女子(ニューハンプシャー州出身)
  2. 隣の部屋の白人系アメリカ人女子(同じくニューハンプシャー州出身)
  3. 2年目から編入してきた白人系アメリカ人女子(ノースダコタ州出身)

特にこの3人とは、本当によく時間を過ごしました。1番と3番の子は、卒業後に日本にも遊びに来てくれました。

上の三人とはずっと仲良しグループでしたが、4年目で同じ寮になった韓国人女子ともかなり仲良くなりました。

仲良しメンバーと。ここまで気合いをいれるのは年に0~2回。

仲の良い男友達も何人かいました。

  1. 上記2番の子の元カレ黒人系アメリカ人(ニューヨーク州出身)
  2. 1の友達のヒスパニック系の何人か忘れた(たしか二重か三重国籍保持者だった)
  3. 白人系ユダヤ人

まぁ恋愛的な話も上記以外でちょこちょことありましたが、それはまた別の機会に(笑)

上記以外も、ボーディングスクール時代をいっしょに過ごした仲間は特別なので、今もFacebookで数百人単位でつながっていて、いつでも連絡が取れる状態です。

ここ15年ほど日本で暮らしているのでかなり疎遠にはなっているのが現実ですが。。お互いに結婚やら出産やらイベントがあれば、メッセージを送るような感じですね。つい最近も嬉しい出産報告が入りました。

どんな先生がいるの?

ボーディングスクールの大きな特徴は、教師陣の質の高さです。修士以上の学位をもっている先生はザラです。

皆さん、家族がいても基本キャンパス内に住み込みで、授業&部活/課外活動顧問&寮の当直などを回しています。(忙しそうですが待遇面が気になります)

寮の先生には生活や学業面で指導を仰ぐこともありますが、車に乗せてもらったり、洗濯機やキッチンを貸してもらったり、ペットやベビーシッターをさせてもらったり、人生相談をしたり、いろんな関わり方をさせてもらいました。

親代わりという表現もありますが、身近な大人の存在でした。

先生の国籍や背景は様々ですが、アメリカ人の方がやはり多いですね。

20年以上同じ学校で勤めている名物先生もいれば、数年で入れ替わる先生もいます。

長くいる先生のほうが印象はいいかもしれませんが、私としては、1年しかいなかった先生もいい意味で印象的だった方もいます。

どんなキャンパス?

大学みたいなキャンパス、といえば伝わりやすいでしょうか。

NMH is proud to be the top holistic boarding school on the east coast.
今のキャンパスのパノラマショット。(出典

私からしたら、自分が大学生になる前にこのキャンパスと出会っているので、むしろ大学のほうが高校みたいなキャンパス、というほうがしっくりくるのはさておき。

広大なキャンパスに丘や芝生や野球場やサッカー場があり、その間に校舎や寮や事務棟がポツポツポツとある感じです。

当時、私が住んでいたキャンパスに絞ってもう少し詳しく書きます。

寮の建物が9棟パラパラと散りばめられ、
その合間に事務棟が1棟、
チャペルが1棟、
劇場が1棟、
講堂が1棟、
図書館が1棟、
アトリエなどが入っている文化芸術棟が1棟、
音楽棟が1棟、
Student Centerという交流棟が1棟、
体育館が1棟、
科目毎の教室棟が3棟。

ほかにも学校関連の建物はありましたが、生徒がよく行く建物はこんな感じでした。

テニスコートや競技用フィールドもいくつかありました。

とにかく敷地が広いので、学校に住んでいても無駄に歩数を稼げます。

雪や雨、カンカン照りの日は悲惨です。

でもなぜか思い出に強く残っているのは、毎日の夕日や、星空、紅葉、雪景色、新緑の美しさだったり、別の寮に住んでいる友達に会いにキャンパスを横断したことなんですよね、不思議と。

女友達3番がキャンパスで撮ってくれた私、お気に入り写真の一つ。

>>2022年6月に現地で同窓会に参加。懐かしいキャンパス、卒業生や先生に再会してきました!

まとめ

以上、過去にボーディングスクールに通っていた私の経験をご紹介しました。

持論ですが、ボーディングスクールは必ずしもエリートになるための学校ではありません。富裕層のためだけの学校でもありません。(学校にもよりますが)

ボーディングスクールで得られる体験や遭遇する変化については、個人的な考察をこの記事に書いています。

ボーディングスクールは日本の中学高校とは異質なのでしょうが、そもそも私が日本では異質なインターに通っていました

留学したときも「こんな学校もあるのね」という感じです。動じない性格もあるかもしれません。

また、小5と中1のときに現地のボーディングのサマースクールにも通っていたから、大きな驚きも少なかったのかもしれません。

私が2回行ったサマースクール↓

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