「アメリカの私立校とは」をテーマに調べていたら、とある記事がよくまとまっていたので、そちらを参照しながら日本語でまとめたいと思います。
アメリカで子どもを私立校に通わせるか、公立校に通わせるか。
日本語でこの記事を読まれている方でその悩みがある方は割合としては少ないとは思いますが、一定数存在はしているので、その方の参考になれば幸いです。
今回参照しているのは、Private School Reviewというアメリカの私立校まとめ情報サイトのブログ記事です。
私はかつてアメリカの私立ボーディングスクールに4年間在籍し、卒業をしました。ですので、ここに書かれていることは結構当てはまっています。
でもアメリカという国は人口が大きく文化思想も多様です。だから学校の様相もかなり多様だということが、この一覧からもきっと見て取れると思います。
日本国内での私立校選びとは選択肢の幅が全然違うことも感じ取れるのではないでしょうか。
- アメリカの私立校25の特徴
- 1.私立校は、私設された学校である
- 2.学費は高いけど、意外とまかなえる
- 3.一部の私立校は無料で通える
- 4.一部の私立校には寮がある
- 5.ほとんどの私立校は通学制
- 6.一部の私立校は通学か寮を選べる
- 7.一部の私立校は宗教校である
- 8.一部の私立校は無宗教である
- 9.一部の私立校では軍事訓練がある
- 10.入試が設けられている
- 11.幼稚園から小3までの私立校が多い
- 12.幼稚園から中2までの私立校も一般的
- 13.中3から高3の4年制タイプもある
- 14.幼稚園から高3までの一貫校もある
- 15.スペシャルニーズ生向けの学校もある
- 16.スポーツが必須な学校が多い
- 17.一部の学校は特定のスポーツ専科
- 18.課外活動への参加が必須な学校が多い
- 19.教科や教授方法は学校が決める
- 20.私立学校協会に属している
- 21.教員は教科に関連した学位ももっている
- 22.ニードブラインド選考をしている
- 23.私立高校では大学レベルの授業を提供している
- 24.一部では国際バカロレアを採用している
- 25.私立校の調査データはNCESでチェック
- アメリカで私立校教育が選ばれる理由
アメリカの私立校25の特徴
ここに挙げられていることは、つまりアメリカ公立校の実態と違う点。ですので、ここに書かれていることを避けたい人は公立校を選ぶインセンティブになると思います。
1.私立校は、私設された学校である
ある意味当然ですが、私立校は主に理事会で意思決定がされる、自治的な教育機関です。
日本でいう教育委員会のようなチェック機能も各州にありますが、最低限の基準を満たしていれば、あとは自由な教育や運営を実施することができます。
2.学費は高いけど、意外とまかなえる
額面の学費設定は高いのが私立校ですが、同時に奨学金枠も設置されていることが多いので、意外とまかなえます。
これには生徒の属性を固定したくないという学校の思惑もあります。
私も返済不要の奨学金をいただいていました。
3.一部の私立校は無料で通える
これは留学生が該当することは少ないのですが、事実です。
4.一部の私立校には寮がある
いわゆるボーディングスクールです。私が在籍していたのはこの部類。
寝食の面倒を見てもらいながら、勉強や課外活動のリソースも潤沢な環境で過ごせます。
5.ほとんどの私立校は通学制
私立校のなかではボーディングスクールはかなり限られています。ほとんどは通学制です。
6.一部の私立校は通学か寮を選べる
私の母校もそうでしたが、ボーディングスクールであっても近隣住民は通学を選択することができます。
特に都会に近いボーディングスクールだと、通学生の割合が大きい傾向があります。
通学生の割合(寮生の割合)って、学校の雰囲気や放課後と週末の充実度合いに関わってくると思うので、個人的には要チェックなポイントです。
7.一部の私立校は宗教校である
私立校を選択するひとのなかには、宗教校であることが絶対条件になります。
たとえば、キリスト教だけでもカトリック、プレスビテリアン(長老派)、エピスコパル(米国聖公会)、アングリカン(英国聖公会)、セブンスデー・アドベンチストなどなどたくさん分かれます。
ほかにもアメリカの私立校は、イスラム、ユダヤ、クエーカーなど様々な宗教に属する学校があります。
8.一部の私立校は無宗教である
一方で、どの宗教・宗派にも属さない私立校もあります。
9.一部の私立校では軍事訓練がある
部活の一貫として、あるいは米軍への進路を見すえて、軍事訓練がカリキュラムに組み込まれている学校もあります。
10.入試が設けられている
公立は学区内に住んでいれば入学が許されるのに対して、私立校はなんらかの入学審査が実施されます。
その方法は学校や学年によります。
11.幼稚園から小3までの私立校が多い
アメリカ全体の私立校を見渡すと低学年向けの割合が高いです。
モンテッソーリ、シュタイナー、レッジョ・エミリアなどの特色ある教育スタイルを取り入れている学校が多いのもこの学年ならではです。
一部の人気校(都市部など)では、妊娠中や出産してすぐにウェイトリストに登録しておくほど狭き門になっているそうです。
12.幼稚園から中2までの私立校も一般的
宗教校でよく見かけるパターンですが、無宗教校でも珍しくはありません。
アメリカの高校は中3から高3の4年間です。なので、中2で終わるのはそこの接続を意識しています。
13.中3から高3の4年制タイプもある
よくあるのが、大学進学向けの私立高校です。こうした学校は、大学進学のために必要な単位や学習習慣を身につけるカリキュラムになっています。
私の母校はこのタイプです。
14.幼稚園から高3までの一貫校もある
幼小中高の一貫私立校もあります。だいたいは通学制の学校です。
15.スペシャルニーズ生向けの学校もある
Students with special needsとは、つまり学習や生活面で特別な支援が必要な生徒のことです。
そうした生徒に必要な対応ができるように専門の人員を配置している学校も私立校には見受けられます。
16.スポーツが必須な学校が多い
多くの場合、私立校ではなんらかの競技スポーツチームへの参加が必須とされます。一部の学校では、ダンスや演劇やアウトドア活動などが選択肢に入っていることもあります。
学校によっては馬術や漕艇やアイスホッケーなど、特殊な施設が必要なスポーツも扱っています。
17.一部の学校は特定のスポーツ専科
一部の私立校はスキーやテニスなどの特定のスポーツに特化しています。そうした高度な指導やプレー環境が必要な場合に検討されます。
18.課外活動への参加が必須な学校が多い
スポーツのほかにも課外活動も参加必須とする私立校が多いです。
19.教科や教授方法は学校が決める
州が決めている教科の条件をクリアしつつ、通常はそれを上回る内容や独自の教育方法で教えている学校がほとんどです。
20.私立学校協会に属している
ほとんどの私立校は私立学校協会(NAIS:National Association of Independent Schools)のメンバー校です。
21.教員は教科に関連した学位ももっている
私立校の教員になるには「教育学」の学位も認められていますが、担当教科に関連した学位を持っていることが多い。
たとえば、物理の先生なら物理学系の学位など。
22.ニードブラインド選考をしている
多くの私立校では、奨学金の申請が選考に影響しない「ニードブラインド」の方針を取っています。
つまり、経済状況には目をつぶって、まずは生徒としての優秀さや魅力を見て選考するということです。
そして選ばれたら、今度は入学してもらうために必要な学費援助を学校が検討してくれます。
23.私立高校では大学レベルの授業を提供している
一部の私立高校では、AP(アドバンスト・プレースメント)教科を設けています。
ただし、教育方針としてあえて設けていない学校もあります。
大学進学をみすえての高校選びでは、重要なポイントのひとつです。
24.一部では国際バカロレアを採用している
アメリカでも国際バカロレアはじわじわ広がっています。
25.私立校の調査データはNCESでチェック
アメリカの教育統計センター(NCES:National Center for Education Statistics)が出しているPrivate School Universe Surveyでは、私立の幼稚園から高校までの各種の統計やデータを確認することができます。
アメリカで私立校教育が選ばれる理由
Private School Reviewの記事を参考にアメリカの私立校の特徴を挙げてきました。
日本の公立・私立を一概に比べることができないように、アメリカも公立・私立を一般化して比べることはできません。
でも、アメリカの私立校の多様性はやはり国の多様な思想や文化を反映させているようにも映ります。
Private School Reviewの別の記事に挙げられている、アメリカの保護者が公立校よりも私立校を選ぶ理由4つは以下のとおり。
- 優秀な教員から専門的な指導を受けさせたい
- 地元の公立校にはない教科、ハイレベルな教科、または国際バカロレアなどのカリキュラムを希望している
- 特定の宗教的信条に基づいた教育を受けさせたい
- 特定のスポーツプログラムを希望している
つまり、この4つに該当しないのであれば高校までは地元で教育を受けて、大学で選択肢を公立・私立に広げる、という選択肢を取るのも自然な流れです。
もっと詳しく知りたい人向けに、参考図書を紹介します。
まずはアメリカのボーディングスクールや私立校で行われている教育について知りたい方向けの本。
タイトルには「エリート教育」とありますが、実際に体験した私の持論では必ずしもエリートを育てる教育ではありません。
イギリスの寄宿校(パブリックスクール)についてはこちらなど。
私が自分の子どもの教育についてどういう選択をしているかはこちらの記事に書いています。
世界の私立校について調べるときのリンク集。