萩原麻友(ハギワラマユ)のブログへのご訪問ありがとうございます。
このブログでは、子育てや教育や進路に関する情報を発信しています。
今回は、CEFR(セファール)という語学力を測るスケールについて調べてまとめてみました。
やみくもに英語を学ぶよりも、ゴールイメージや最低目標値があったほうが上達もしやすくモチベーションも続きます。
せっかく英語に時間を割いているのであれば、英語嫌いにさせてしまうことだけは避けたいものです。うまく利用してみてください。
- CEFRの説明
- CEFRの各レベルでできることの目安
- CEFRと英語力証明テストとの関係
- 無料でCEFRを測る方法
- CEFRの活用法
注意点として、ここに挙げている内容は変わる可能性があるものです。
都度、自分のケースに即して最新で正確な情報を確認するクセをつけてください。
たとえば同じ水準を求める大学でも、試験によって要件が厳しかったり甘かったりします。募集要項などをよく読み込んで、利用できそうな「ギャップ」を探すのがコツです。
また、同じTOEFL点数を求められていたとしても、細かく見ると4技能の点数配分が異なるケースもあります。やはり募集要項をよく読み込み、自分にとって対策しやすい関門を狙うようにするのもコツです。
この記事は、その調査の入り口としてご活用ください。
外国語の運用能力を測るCEFRとは
CEFR(セファールと読む方が多い)は、「外国語の学習・教授・評価のためのヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR: Common European Framework of Reference for Languages)」の略です。
CEFRは、外国語の学習進度を測れるように開発された6段階のレベル分けです。
英語だけでなく、日本語を含む40言語に対応しているそうです。
CEFRはもともと多言語文化であるヨーロッパの評議会(Council of Europe)によって20年以上研究されて2001年に公開されました。
日本ではやっと数年前から一般でも見かけるようになった指標です。それまでは英検やTOEFLやIELTSやTOEICなど、バラバラだった指標が一元化されることで、学習者にも評価者にもなにかと便利になっています。
CEFRの各レベルと試験スコア
それでは、CEFRの各レベルの説明を挙げていきます。
なるべくイメージしやすいように、そして勉強に役立つように、以下の情報を含めています。
- レベルの概要
- 主要なテストの点数やレベル
- 子ども向けのテストの点数やレベル
- 必要とされる勉強時間
- 該当する単語数
- Lexile指数(文章の難易度の指標。高いほど読解力が高いといえる)
出典は次の節にまとめています。
どの数値やレベルも、「参考値」「目安」「一説」であることをご留意ください。かなり個人差や環境差があります。
スクロールしていくと長いので、ショートカットも置いておきます。
- 学校だけの勉強だけで中卒までに多くがA1を達成できる。
- 学校だけの勉強だけで高卒までに多くがA2を達成できる。
ちなみに小学生でこのレベルなら、ぜひオールイングリシュの学習環境を試して欲しい。 - 国内の大学入試で優遇を受けたいならB1を目指す。
ちなみにこのレベルがあれば海外進学(難関以外・パスウェイや編入コース含む)も狙える。もし中高生でこのレベルなら、ぜひオールイングリッシュの学習環境を試して欲しい。 - 主に海外大学(難関以外)や大学院へのパスウェイコースを目指すなら、B2を目指す。
- 海外のトップ難関大や大学院を目指すなら、C1を目指す。
C2:熟達した言語使用者
C1:熟達した言語使用者
小中の7年間インターに通い、高校4年間はアメリカのボーディングスクール、アメリカではパブリックアイビーやリベラルアーツ大学に合格できた私の英語力は、このC1くらいです。
B2:自立した言語使用者
B1:自立した言語使用者
A2:基礎段階の言語使用者
A1:基礎段階の言語使用者
2年ほどオンライン英語を週1で続けてきた息子は、小3でここのレベル。
A1未満
1.各種目的に応じて求められる英検®の品質についての考え方、ならびにその活用に関するガイドライン| 英検 | 公益財団法人 日本英語検定協会. https://www.eiken.or.jp/eiken/exam/itemguideline.html
2.Compare TOEFL iBT Scores. https://www.ets.org/toefl/score-users/ibt/compare-scores.html#accordion-1e9bee5a64-item-26098d20a4
3.IELTS in CEFR scale. https://www.ielts.org/about-ielts/ielts-in-cefr-scale
4.Cambridge English Scale results reporting | Cambridge English. https://www.cambridgeenglish.org/exams-and-tests/cambridge-english-scale/
6.CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠) | ブリティッシュ・カウンシル. https://www.britishcouncil.jp/programmes/english-education/updates/4skills/about/cefr
7.TOEFL Junior® Standard とは | GC&T公式ウェブサイト(TOEFL Primary、TOEFL Junior). https://gc-t.jp/about_test/junior/
8.TOEFL Primary® Step 1・Step 2 とは | GC&T公式ウェブサイト(TOEFL Primary、TOEFL Junior). https://gc-t.jp/about_test/primary/
9.次期教育振興基本計画について(答申). https://www.mext.go.jp/content/20230308-mxt_soseisk02-000028073_1.pdf
補足:2023年3月8日に公開された文科省の中教審による『次期教育振興基本計画について(答申)』の「グローバル社会における人材育成」が今後5年間の教育政策の目標のひとつとして挙げられている。この答申は政策に反映される重要な位置づけ。ただし指標はあくまで指標で、目標の進捗状況を把握するためのものであり、目標そのものではない。
10.【外国語編 英語編】高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説. https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/03/28/1407073_09_1_1.pdf
11.Guided learning hours – Cambridge English Support Site. https://support.cambridgeenglish.org/hc/en-gb/articles/202838506-Guided-learning-hours
補足:授業時間数はあくまで目安。実際は子どもの年齢、授業外での英語との接点・予習復習の量、語学の素養、授業のハードさなどによって必要時間に個人差が生まれる。
12.English Vocabulary Categorized by Level | LanGeek. https://langeek.co/en/vocab/level-based
13.Aligning the Lexile Framework to the CEFR. https://metametricsinc.com/wp-content/uploads/2018/07/Aligning-the-Lexile-Framework-to-the-CEFR.pdf
14.Test information. https://www.pearson.com.hk/en_GB/qualifications/pte/pte-general/test-information.html
15.PTE/Pearson English International Certificate – Young Learners A parent’s guide. https://qualifications.pearson.com/content/dam/pdf/pearson-test-of-english/pte-young-learners/parents-brochure-pte-young-learners.pdf
16.2022年度入試 英語外部試験利用入試を実施する主要私立大学一覧. https://www2.sundai.ac.jp/news/2022news/2022_eng_shiritsu.pdf
17.2022年度入試 国公立大学一般選抜 英語外部試験利用大学一覧. https://www2.sundai.ac.jp/news/2022news/2022_eng_kokukou.pdf
18.Find A Book | Lexile & Quantile Hub. https://hub.lexile.com/find-a-book/search
無料で英語レベルのCEFRを測定
インターネット上には、無料でCEFRを推定できるサイトがいくつかあります。
比較的時間がかからないのはこちら。言い回しやボキャブラリの問題のみです。
私もやってみたらC2と出ましたが、これまでの英検やTOEFLのスコア的にも自己評価的にも私の英語はC1です。
かなり短時間のテストですし、多少の誤差は出るのは仕方ないと思います。
ほかにも、各テストとの相性を試せるようにサンプルテストが転がっています。
まずはこちらで試してから、自分にとって有利な(点数を稼ぎやすい)試験を選ぶのも手です。
ここに挙げているリンク先には、無料の過去問・サンプル問題・教材が眠っています。活用しない手はありません。
英検過去問
TOEFLサンプルテスト
IELTSサンプル問題
ケンブリッジ英語検定サンプル問題や教材
Duolingoサンプル問題
PTEサンプル問題
CEFRを活用する場面
CEFRを活用できる場面は多くあります。
一度知ってしまうと、もうCEFRが無かった時代には戻れません。
用途別
長期的な学習目標を立てるとき
上の一覧を眺めて、自分(または子ども)が何歳までにどれくらいのレベルに到達していたいか描きます。
たとえば高3のときに海外の大学に出願できるように、高3の夏までにB2レベルを証明できるスコアがほしい、と考えたとします。
B1→B2までに必要な授業時間が200時間だと仮定して、週3x1hの個別指導または塾をいれたとすると、1年3ヶ月かかるので、逆算すると高1の春までにはB1であってほしい。
このように、途中のベンチマークとしてCEFRを活用することができます。
塾や教材を選ぶとき
自分(または子ども)に合った塾や教材やカリキュラムを選ぶときにもCEFRは使えます。
たとえば私の息子が利用している小学生向けのオンライン英会話では、PreA1からA2までに対応しているとHPに記載されています。
対象年齢であっても、仮に英語レベルがB1であれば、このオンライン英会話ではレベルが低すぎるとすぐに判断ができます。
統一された基準なので、時間を無駄にすることなく、たくさん存在するリソースを選り分けることができるんです。
もうビフォーCEFRには戻れません。
長男がここ2年以上利用しているのは、Novakid(ノバキッド)という子ども向けオンライン英会話です。
オンラインなので送迎不要。ゲーム感覚の教材もすべてデジタルで完結。講師は全員が有資格者で、事前に動画やプロフィールを見て予約ができます。
国内で受験するとき
国内で中学・高校・大学などを受験するとき、試験のスコアを出願要件とする機関もあれば、CEFRで定めている機関もあります。
以下のようなまとめ情報のほかに、個別の教育機関の募集要項や、個別問い合わせで確認します。
2022年度入試 英語外部試験利用入試を実施する主要私立大学一覧https://www2.sundai.ac.jp/news/2022news/2022_eng_shiritsu.pdf
2022年度入試 国公立大学一般選抜 英語外部試験利用大学一覧https://www2.sundai.ac.jp/news/2022news/2022_eng_kokukou.pdf
留学やビザ申請をするとき
海外留学や移住・就労ビザの申請をするときも、CEFRはもちろん頼りになります。
多くの海外の教育機関では、複数の英語力スコアに対応しています。
詳細は、大学や中高、交換留学、短期のプログラム、それぞれの募集要項を確認します。
ビザ申請の要件は、各国の外務省や移民局のHPを参考にします。
番外編:英語試験が不要な大学
いわゆる最難関大学でも、実は英語力証明を不要とする大学があるのをご存知でしょうか。
ハーバードはそのひとつです。
「英語力が不要」と言いたいわけではありません。当然必要です。
ただ、スコアや受験環境や経済事情に関係なく、優秀な学生を募りたい。見る目に自信がある。
「英語力証明を不要」とする背景には、そういう思想が隠れています。
留学したい年齢別
ここからはあくまで「多くの方が通るであろう道とペース」です。これに沿っていないと駄目とかではなく、またこれに沿っていれば必ず将来の成功が約束されるものでもありません。
あくまでモデルケースとして参考にしてみてください。
大学以降に留学したい
大学以降に留学を考えている純ジャパ家庭の子どもは、おもに日本人向けに開発された「英検で中学生のうちに2級」まで行き、その先は志望先と試験との相性に合わせてTOEFL、IELTS、Duolingoから選んで高3春くらいまでに最低でもB1、良くてB2を狙おう。
中高から留学したい
もっと早く、つまり中高からの留学を考えているなら、小学生のうちからTOEFLJuniorやCambridge Young Learnersなどで試験慣れと実力測定をしていくと進捗がわかりやすいです。
受験しなくても、問題集や準拠したオンライン英語に習っているだけでもいいです。
小学生でA2レベルあるなら、サマーなど短期プログラムでオールイングリッシュの環境に挑戦させてみてください。
中高でもB1レベルあれば、現地生もいるサマーなどの選択肢が増えます。たとえA2以下であっても、ESL向けの短期留学は豊富にあります。
ちなみに私の息子はCEFRとケンブリッジ英語検定に沿ったカリキュラムのオンライン英語で学んでいます。(小3現在、ケンブリッジヤングラーナーズ英語検定のMovers(ゆるくA1)です。)
長男がここ2年以上利用しているのは、Novakid(ノバキッド)という子ども向けオンライン英会話です。
オンラインなので送迎不要。ゲーム感覚の教材もすべてデジタルで完結。講師は全員が有資格者で、事前に動画やプロフィールを見て予約ができます。
まとめ
ここまで、CEFRの説明、各種テストとの関係、そしてCEFRの活用法についてまとめてみました。
いかがでしたでしょうか。
思っていたほど焦らなくていいと思われたかもしれないし、逆にちょっと焦ったひともいるかもしれません。
いずれにしても、ゴールイメージの解像度をあげていくこと、そして関連する情報収集と一次ソース確認を続けていくことが大事です。
なぜ大事かというと、塾などの第三者の情報にまどわされにくくなるためです。
塾やメディアは、あらゆる方法でTOEFLが必要、英検が有利、と煽ってきます。
彼らも商売ですし、実際に有用な情報もあるので否定はしませんが、
利用できる部分を判断し、ここから先はいらない、と線を引くのはあくまで消費者(保護者)です。
情報収集と一次ソース確認を重ねて、ゴールの解像度をあげていくのは、リソースの無駄遣い防止と不安の払拭にも繋がります。
不安が減ると、目の前のことにも集中しやすくなります。
英語の勉強は、ゴールイメージに加えてモチベーションも必要です。
本人が英語でなにをどうしたいのか。それを明確にして、不安を取り除いて、意欲を高めて、勉強に集中してもらう。
その環境を整えるために保護者はどうすればいいのか、そこに知恵を絞ります。
保護者が一番避けたいのは、子どもを英語嫌いにしてしまうこと、そして自己効力感を損ねてしまうことです。
目標のスコアや資格が取れないからといって、その能力がない証拠にはなりません。
逆に、スコアや資格があれば、少なくとも必要なときには通行手形となりえます。
このあたりのニュアンスをうまく生かして、子どもの「グロースマインドセット」や「レジリエンス」も大事にしていきたいですね。
この2つについては、いずれまた記事にするかもしれません。