萩原麻友(ハギワラマユ)のブログへのご訪問ありがとうございます。
今回は、日本の高校に通いながら海外の高卒資格を取る方法についてです。
しかも都市部・地方関係なく。
そんな方法あるの?と思われるかもしれませんが、考えてみればそんなに驚くことではありません。
- ダブルスクールを叶える、オンライン・ハイスクールという存在
- ダブルスクールをする理由
- ダブルスクールのデメリット
- オンライン・ハイスクールの選び方
オンライン・ハイスクールという存在
日本の高校に通いながら海外の高卒資格を取る方法の要となるのが、「オンライン・ハイスクール」の存在です。
オンライン・ハイスクールとは、インターネットを利用してオンラインで受講する高校のことです。
この記事では、日本の高校に通いながら海外のオンライン・ハイスクールにも通っている状態を「ダブルスクール」と呼ぶことにします。
ダブルスクールでは、日本の高校と同時に海外の高校にも通うことができます。
オンライン教育の発展により、より手軽に海外の高校に通うことができるようになったことで、ダブルスクールは注目を集めています。
日本の通信制高校とどう違う?
似たような仕組みでは、日本にも「通信制高校」が知られていますよね。
芸能やスポーツのキャリアを積まれている方や、何らかの事情で通学制が合わない方に選ばれている教育方法です。
オンラインハイスクールと日本の通信制高校は、両方とも遠隔での学習を可能にする学校という意味で似ています。
いずれも個別の教育ニーズや生活スタイルに合わせやすい選択肢です。
ですが、いくつかの相違点があります。
まず、海外で認証されているオンライン・ハイスクールでは、その認証を得た国・地域の高校卒業資格を得ることができます。
一方、日本で認可された通信制高校では、日本の高校卒業資格を得ることができます。
「どこで認可/認証を受けているか」、そしてそれにより「なんの資格/証明になるのか」が、日本の通信制高校と海外のオンライン・ハイスクールの一番大きな違いです。
ほかにも違いとしては、学費の多寡や英語力の要否が挙げられます。
ダブルスクールをする理由
日本の高校に通いながらオンライン・ハイスクールに通う。
これをこの記事では、ダブルスクールと呼びます。
ダブルスクールをすることで、日本と海外の高校の卒業資格を同時に得る事ができます。
でもそもそも「なんで2種類の高卒資格が必要なのか」と思われるかもしれません。
海外の高校卒業資格でできることは日本の高校卒業資格でもできるのではないか。
たとえばアメリカの高校卒業資格である「ハイスクール・ディプロマ」は、日本の高校卒業資格とほぼ同等であり、どちらも同等の大学入学資格が得られます。
でも「一部の高校カリキュラム」には、日本やアメリカの高校卒業資格とはできることが異なる場合があります。
そこが、ダブルスクールが注目されている一番の理由だと個人的に思います。
イギリスの大学への「直接」入学資格を得るため
日本やアメリカの高校卒業資格では、一部のイギリスの大学に「直接」入学することができません。
多くのイギリスの大学の方針では、日本の高卒者は学士課程に進む前に「ファウンデーション・イヤー」を挟むのが一般的です。
要するに日本の高卒資格だけでは、イギリスの学士課程には「直接」入学ができないケースが多いというわけです。
もしファウンデーション・イヤーが免除されて「直接」入学が認められたら、イギリスでは3年で学士を取得できるので、時間と費用の削減になると言われています。
一方でファウンデーション・イヤーにもそれなりの利点はあるので、「直接」入学ができないと2軍、みたいなことはないです。
ただ、ごく一部の大学においてはファウンデーションからの入学が認められないこともあるのは事実。
そして実はこのファウンデーション・イヤーを挟む仕組みはイギリスだけでなく、オーストラリア、ニュージーランド、マレーシアの大学進学の際にもあります。私が知らないだけでほかの国や地域でもありえます。
そのため、「直接入学も含む選択肢をなるべく広げておきたい」方にとっては、オンライン・ハイスクールなどで海外の高校卒業資格を取得するインセンティブが働くのもうなずけます。
ただし!このファウンデーション・イヤーを免除するかどうかは、究極的には個別のケースと大学の方針によって異なるので、きちんと公式に確認してください。
では、ファウンデーション・イヤーが免除されて、「直接」入学が認められる可能性が高い高卒資格にはどんなものがあるのでしょうか。
ここからは、ケースバイケースのこともあるので、あくまで参考程度にしてください。
A level
一番メジャー(私的観測)な、イギリスの高卒資格はA levelです。
日本国内で修了するA levelの記事でも書きましたが、
A Levelとはイギリス式の大学入学レベルの学力を証明する科目別の教育+試験のプログラムです。
イギリス以外の国でも認められています。もちろん日本でも。
A levelも細かく見るとCambridge提供のもの以外に、Pearson Edexel社提供のものがあります。
厳密には違うけども、資格としては同等です。
(が、これも例外がないとは言い切れないのでよく確認)
もしイギリスの大学進学の射程範囲を広げたいと目論むのであれば、
A levelを提供しているオンライン・ハイスクールから選ぶといいでしょう。
「a level online school」などのキーワードで検索すると、出てきます。
ほかにもイギリスでA levelと同等とされる高卒資格には、Cambridge Pre-UやScottish Highersなどもありますが、あえてそっちの道に進むほどの理由はないのではないか、と私は思っています。
国際バカロレア・ディプロマ課程(IBDP)
A level以外では、IBDPもあります。
4つある国際バカロレア課程のうちのディプロマ課程(IBDP)が、高校2年分にあたるカリキュラムです。
これを修了して、試験を通過すると国際バカロレア資格が取得できます。
国際バカロレア資格もイギリスの大学ではA levelと同様に扱われます。
(が、これも例外がないとは言い切れないのでよく確認)
国際バカロレア校は日本でも増えてきましたが、地域によってはその恩恵を受けられませんよね。
でも実はIBDPを採用しているオンライン・ハイスクールがあるんです。
まだ2022年に始まったばかりのパイロット版だそうですが。
Diploma Programme online – International Baccalaureate®
ダブルスクールを選ぶ他の理由
では、イギリス(や似た仕組み)の大学への出願を志望するひとにしかダブルスクールをする意味がないのかというと、そうでもありません。
ダブルスクールには、ほかにも選ばれる理由があります。
アカデミックイングリッシュの習得
日本の高校では、試験やレポートの点数が主な評価方法ですが、海外の高校では、プレゼンテーションやポートフォリオ、グループプロジェクトなど、多様な評価方法が用いられます。
いずれ海外の大学進学や交換留学を考えているのであれば、そうした多様な評価方法に早くから慣れることができるのも利点です。
たとえ進学先が英語圏以外であっても、英語で学士号・修士号を取得できる非英語圏の国も多数あります。(ただし、大学や専攻によるので注意!)
たとえば
ヨーロッパには、オランダ、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、スペイン、イタリア、ドイツ、スイス、チェコ、スロバキア、ルーマニア、ブルガリア、ポーランド、ハンガリーなどの国に英語で教育を行う大学があります。
アジアには、中国、香港、シンガポール、マレーシア、インド、韓国、台湾、フィリピンなどの国に英語で学位を取得できる大学があります。
アフリカや中東でも、エジプト、モロッコ、イスラエル、UAEなどには英語の学位プログラムがあります。
留学生のビザは、世界への通行手形です。
できるうちから英語の運用能力を高めておくと、世界への扉が開けます。
オンライン英会話と、アカデミック・イングリッシュは全然違うものです。
カリキュラムの多様性
これは、オンライン・ハイスクールにもよるかもしれませんが。
海外の高校では、日本では教わらないような科目があることもあって、より広い視野を持った教育を受けることができるといえます。
日本の高校では、主要な科目として数学、国語、英語、理科、社会科などがありますが、
海外の高校では、これに加えて芸術、音楽、演劇、哲学、心理学、コンピューターサイエンスなど、多様な科目を提供しています。
また、日本の高校では、1科目あたりの時間数が限られていて、幅広い科目を取ることが難しい傾向があります。
でも、海外のオンライン・ハイスクールならそのあたりが柔軟に設計されている可能性が高いです。
大学単位の早期取得
これも、オンライン・ハイスクールによると思いますが。
大学によっては、高校で取ったハイレベル科目の単位を認定してくれる場合があります。
APやIB、A levelなどのカリキュラムや試験を通して、大学が求める各要件を満たすことが前提です。
大学の単位を少しでも認定してもらえると、卒業までにかかる期間を短縮できたり、その代わりに選択科目を増やすことができたり、まぁまぁ便利です。
多様な科目展開をしてくれるオンライン・ハイスクールだからこそ、使える技ですね。
生徒の多様性
オンライン・ハイスクールでしかない出会いもあります。
英語ベースの高校では、世界中から生徒が在籍していたり、多様な進学や進路を前提としたサポートもありえます。
オンライン・ハイスクールには、地理的・文化的な制限がないため、生徒たちは非常に多様なバックグラウンドを持っている可能性が。
また一般的な学校に行くことが難しい生徒や、家庭環境や健康状態などが理由で学校に通えない生徒も、オンライン・ハイスクールで学ぶことができます。
さらに、早期卒業を目指す生徒や、プロのアスリートや俳優など、学業と仕事やスポーツの両立を目指す生徒も多く在籍しています。
通常の高校とは異なる学び方や生活スタイルを選ぶ生徒と出会える可能性が高いのが、オンライン・ハイスクールです。
ダブルスクールのデメリット
いくらオンライン・ハイスクールで海外の高校卒業資格が取れるといっても、それが全員にとって有益であるとは限りません。
日本の高校卒業資格でも、海外への大学進学は充分できますので。
あくまでも自分の希望する進路や目的に合わせて、適切な学校選びをすることが大切です。
次に挙げるオンラインハイスクールやダブルスクールのデメリットも参考にしてください。
- オンラインの授業形式への適応に時間がかかる
- 日本の高校と海外の高校のカリキュラムを両立させるために、通常よりも時間管理や自己管理が必要になる
- 英語力が足りずに授業についていくのが大変
- ダブルで通うぶん、費用が高額になる
- 制度の変更等で、単位や卒業資格が当初の想定通りに認められないことがある
- (日本の大学入試もする場合)オンライン・ハイスクールの学習は日本の大学入試の対策に直結しない
不安をあおるつもりはありませんが、このとおり決してバラ色の道のりではないことをご理解ください。
ただ、もし上記のデメリットを乗り越えることができたら、
- 適応力
- 時間管理や自己管理スキル
- 英語力
- 独自の学歴
などが手に入るということでもあります。
オンライン・ハイスクールを選ぶ基準
そこそこ困難も待ち受けているダブルスクールですが、どうせやるのであれば、まずは自分自身に合ったプログラムを探し、十分に準備をしてからチャレンジすることをおすすめします。
また、ダブルスクールではなくオンライン・ハイスクールだけに通うという道もあります。
日本では高校以降は義務教育ではないですしね。
オンライン教育の選び方については別記事でも詳しく書いていますが、ここでは高校課程に絞って「選ぶときのポイント」を挙げます。
- 受講料やその他にかかる費用の総額
- カリキュラムの内容、卒業するのに必要な単位、科目の幅
- 必要な教材の費用や種類
- 取得できる卒業資格の種類
- 評判や実績
- オンライン学習に必要な機器や環境
- スクーリング(通学)の要否
- WASCなどの国際的な認定*があるか
- 証明書類を出してもらうときのプロセス
- (必要であれば)日本語でのサポート、外国人学生への配慮があるか
こうしたことに加えて、個別の事情に応じたチェックポイントを事前に確認しておきましょう。
*WASCなどの国際的な認定、というのは、教育機関の国際評価団体による認定のことです。日本の文科省では、WASC、CIS、ACSIの評価を認めています。詳しくは文科省のウェブサイトの大学入学資格に関するページなどをご参照ください。
こちらの記事でも触れています。
まとめ
この記事では、ダブルスクールという、日本の高校に通いながら海外の高校の卒業資格を得ることができる方法について取り上げました。
日本にいながら海外進学の可能性も広げることができるとして、海外留学のリスクやデメリットの心配を減らしたい方には特に注目されています。
しかし、この方法にはオンラインやダブルスクールならではのデメリットもあるため、適性や必要性について十分な検討が必要です。
ただアカデミック・イングリッシュができると選択肢が広がるのも事実です。
気になる方は、たとえばパートタイム的な使い方ができるオンラインスクールでまずは単位だけ取得するところから始めるのもありです。
重く考えすぎずに、オンライン・ハイスクールを試してみたほうが適性も必要性も見えてくるかもしれませんね。
ちょっとでも可能性にワクワクしてもらえたら嬉しいです。
小学生向けのアカデミック・イングリッシュならこちら↓