インターナショナルスクールにはどんな「後悔」があるのか調べてみたら、いろんな項目が出てきました。
この記事ではインターナショナルスクールにありがちな後悔について、元インター生である私の言葉で解説します。
この記事を読むことで少しでもインターへの誤解を減らし、冷静に子どものためになる選択をしてください。
近年、インターナショナルスクールの開設が増えています。教育を流行りで選ぶような風潮に、私は危機感を覚えています。
この記事では決して、インターを称賛したり批判したりしません。あくまで子どもと家庭にとってのベストを模索したいのです。
>>インターのメリットについて、インター生にヒアリングしました
“ありがち”なインター失敗談・後悔談
ざっとネットで見たところ、インターにまつわる失敗や後悔は、この6つに集約されているようです。
インターナショナルスクールにありがちな6大”後悔
- 学校に馴染めなかった/挫折した/子どもが英語を嫌いになった
- お金がかかる
- インターなのに日本人ばかり
- 英語以外の学問的なメリットがなかった
- 日本の学校の受験資格を与えられなかった/進学先の選択肢が減った
- 日本語も英語も中途半端になった
1は、インターに限ったことではなく、どの学校でもどの子どもでもあり得ます。
2〜5は、「思ってたんと違う」というやつですね。
入学前の調査と想像力で、ある程度防げます。
この問題も、どの学校でもあり得ます。
6については、学校以外の要因もあり得ます。
ではそれぞれについて深堀りしてみます。
学校に馴染めなかった/挫折した/子どもが英語を嫌いになった
英語や学校を嫌いになるのは、子どもが合わないなにかと戦っているときの反応が現れていることが考えられます。
学校が合わない。
先生が合わない。
生徒が合わない。
通学路が合わない。
言語(方言)が合わない。
インターに限らず、どんな学校でもありえると思いませんか?
この状態の場合、よ〜く子どもを観察してみてください。
合わないなら、合う時間だけ、合う教室だけ、通ってみてもいい。
学校を変えてみてもいい。
学校に行かないで勉強する選択肢もあります。
時間をおいて、もう一度挑戦してもいい。
子どもって素直で純粋です。上手く行かなくて一番傷つくのは、子ども自身です。
周りの大人は子どものサインを拾いながら、必要なフォローをしてあげてください。
これは6つの中で一番重要な”後悔”です。
ほかのどれを置いても、これは“後悔”になるまで放置してはいけません。
>>「私の子育て、このままでいいのだろうか」と感じたら【そこじゃない】
お金がかかる
こちらの記事でも書きましたが、インターや私立は額面以上の金額がかかります。
学費以外にかかるのがお付き合い費用、通学費、長期休暇の活動費など。
そして学費も毎年値上がりする可能性があります。
また、今の収入がどの程度維持できるのか、誰にも保証はできません。
インターや私学に通うときは、「収入が〇〇以下に落ちたら辞める」くらいの覚悟があったほうがいいですね。
実際にかかる金額は、事前に調べた学費の1.5~2倍くらい見ておいて良いと思います。
決して無理をしないでください。後悔のもとです。
経済的に苦しくて家庭内がギスギスするくらいなら、無理のない学校を選んで家庭内円満なほうが子どもの健全な発達・成長・学習、全てにおいて好影響です。
(持論ですが、家庭内円満を上回る教育投資はないと思います。特に小学校。)
インターなのに日本人ばかり
気になるなら入学前に調べましょう。
一口にインターといっても、いろいろ種類があります。
日本国籍をほとんど入れない学校もあれば、生き残り戦略として 来る者拒まない学校もあります。
HPに国籍比率を載せているところは少ないです。写真には学校のバイアスがかかるので、あまり参考になりません。
入学する前に本当のところを知るには:
- 何度か学校を訪問する
- 担当者に質問する
- 通学路をそっと観察する(!)
- 在学生や直近の卒業生に聞いたりする
しかありません。
ただ気をつけたいのは、直近の状況がわかったとしても、それが実際に入学してから卒業するまでの間どうなるかとは実は関係がないということです。
ずっと女子校だった学校が、共学になることもありますよね?
上がり続けた株価が急落することもありますよね?
過去と現在(未来)は、つながっているようで実は異なります。
私が入学した当時のインターはインド人が多かったのですが、転出する頃には韓国人のほうが多かったです。日本人も増えていた気がします。
また、何を求めてインターに入るかにもよりますが、日本人が少なくても日本語はまかり通っていることが考えられます。
(私の友だちの白人アメリカ人たちは関西弁ペラペラでした。)
英語以外の学問的なメリットがなかった
これも、気になる可能性が少しでもあるなら入学前に調べましょう。
まず、教育で大事にしたい点はなんなのか。
学校はそれを満たしてくれるのか。
来年も、その次も、在学中満たしてくれるのか。
私が通っていたインターは日本では”各種学校”扱いで、つまり日本の文科省のカリキュラムに沿っていませんでした。
わかりやすいところでいうと、体育には鉄棒・跳び箱・マット運動がないし、掃除の時間もないし、身体測定・健康診断もないです。
その代わり、私のインターはアメリカのカリキュラムに沿っていました。宿題でわからないところがあっても、親は全く頼りになりません(笑)
あの頃学べて良かったと思うのは、PCスキルと宗教(異文化を知るという意味で)です。
英語もできるようになりましたが、他に学んでいないこととの引き換えでもあります。
私は漢字が書けないし、社会も日本史もやっていません。日本人としての一般常識を知りません。それでもなぜか東京大学と大阪大学に両方受かりましたし、日本でアルバイトも就職もできましたけどね。
学校で学ぶこと・学ばないことが、必ずしも社会でのサバイバル力につながるわけではない。
それでもこだわりがあるのであれば、各インターはなんらかのカリキュラムを使っているのでその資料を取り寄せ、希望の教育内容に合致しているか確認しましょう。
>>「インターナショナルスクール生の国語力ってどうなの?」というご質問
日本の学校の受験資格を与えられなかった/進学先の選択肢が減った
私は、小学校時代をほとんどインターで過ごしました。
漢字は独学、社会や国語はやっていないし、理科と算数は英語の問題しか解けない小6生でした。
社会と歴史の知識は、テレビのクイズ番組とワイドショーで仕入れました。
日本の中学受験に通用するような学力(日本的な意味の)はありませんでした。
最初から日本の学校にいれるつもりだったら、インターにいれている場合じゃないです。
その代わり、インターにいったおかげで世界への進学のきっぷを手にしていました。
世界を見渡すと、日本語を使う学校よりも英語を使う学校のほうが多いです。
インターにいれることで少し減ったかもしれない選択肢の代わりに、ほかの選択肢が増えています。
ところで私が帰国して東大に入ったあと母に聞いたら、インターに入れた頃から「最低でも上智は射程圏内」だったそうで。
母は、インターの高校を卒業しても大学に入れると知っていたんです。つまり母は私が小学生の頃から、先々の選択肢を残しておけるように考えておいてくれたんです。
口では「アイビーリーグ」とか言ってましたけどね。
ただし、時代が変わると事情も変わります。今や、インター以外から海外進学を目指すこともおかしくない時代です。
数歩先を考えながら選択肢を並べ、選択をする。
親は入学前から、あらゆる可能性を想定しておきましょう。
>>ダブルスクールで叶う、海外の高校卒業資格:オンライン学習の新しい選択肢
日本語も英語も中途半端になった
この後悔には、一理あります。
私もこの記事で触れていますが、在学中はみんな英語と日本語が混ざっていました。
それはもう世間に聞かせられない恥ずかしい言語でしたが、コミュニティ内では普通に話すほうが逆に恥ずかしい。日本語にたとえると、その土地の方言を話さずに、あえて標準語で話すみたいなものです。
この話し方だけを聞くと、英語と日本語が中途半端と捉えられてもおかしくないです。
でもね、やれば英語だけでも話せるし、日本語だけでも話せます。ちゃんとみんな成人して社会生活を送っていっています。
「英語も日本語も中途半端になる心配。。。」
これを見る度に言語学者でも育てたいのかなと思います。
どちらも完璧にできてほしいのであれば、本当にインターでいいのかはしっかり見極めてください。
私の経験上、インター生で
成績がいい=英語が得意、とは限らないです。
発音がいい=英語が得意、とも限らないです。
英語も日本語も完璧な人って、私からしたら誰もいないです。
完璧を目指すほどの時間と熱意とリソースがあるなら、その使いみちをよく考えてほしいです。
多くの人からみると私はバイリンガルだそうですが、自分からしたら全く自慢できるレベルではありません。
日本語も英語もできるようになればなるほど、それまで見えていなかったできていないところが見えてくるからです。
完璧を目指している限り、終わりはありません。
優先順位をはっきりさせて、取捨選択。
不完全を受け入れることも必要です。
子どもの自尊心のためにも。
インターで後悔しないために
インターのメリットについては、こちらの記事で書きました。
私のブログにたどり着く方の多くが、「インターナショナルスクール 後悔」で検索しているようです。
こういうワードで検索するということは、私の想像の範囲ですが、このような方が多いのでしょうか。
- これから子どもを行かせるかどうか迷っている
- 知り合いが行くことになったけど抵抗がある(心配半分、妬み半分?)
- インターに行っていない・子どもを行かせていないことの正当化(選択に自信がない)
もちろん、上記は的外れかもしれませんが、このような背景をいろいろ考えてしまいます。
インターに対する後悔は、求めていたことが得られなかったから生じるのでしょうか。
想定と違う、というのは人生よくあることです。
入学する前に「想定と実際のズレ」を小さくしておくことが、後悔を防ぐカギになります。
そのためには、まずインターに何を求めているのか、はっきりさせましょう。
例えば、
- 語学力や発音の習得
- 外国人や異文化との触れ合い
- 個性を尊重する教育
などをインターに求めているのでしょうか。
それだけの理由でインターを選ぶのは正直甘い、と私は考えています。
語学力と発音でしたら、おうち英語や英語塾、オンラインでやりようはいくらでもあります。
外国人や異文化との触れ合いも、ホームステイの受け入れや海外協力ボランティア、海外旅行などで補えます。
個性の尊重については学校にかなり寄りますし、インターの専売ではないです。究極的には先生に寄るので、インター内でも当たり外れはありますし、他の学校でも同様の経験を得られる可能性はあります。
学校を選ぶ軸。
学校に何を求めますか?
インターであっても、そうじゃなくても。
いかに子どものやる気が引き出されて。
家庭の教育・経済方針とあっていて。
それが持続可能な学校なのか。
子どものためにも、親のためにも、しっかり見極めてほしいと思います。
学校を見学したり、在校生や卒業生や保護者に話を聞いたりして、仮説検証を怠らないでください。(英語に不安があるならインターナショナルスクールの保護者向けのオンライン英会話で磨いて自信をつけてください。)
何度でもいいますが、家庭によって答えは違うし、子どもによっても答えは違う。
つまり、兄弟でも答えが違うことがあります。
私はインターから海外に進学しました。
弟はインターから国内の私立中高へ。
妹はインターから国内の公立中高へ。
ある程度の年齢になると、子どもは自分で判断していきます。
子どもが「自分で決める力」がつく家庭と学校環境に置かれることを願います。
まとめ
最後に、いろんな”後悔”をまとめていて思ったことがあります。
子どもがインターに行くことで、たとえ親がする後悔はあっても、子は後悔しないのではないか。
特に若い時期の子にとっては、与えられるものがすべてです。
少なくとも私はインターに行っていたことで、辛い思いもしましたが後悔は全くしていません。そもそも辛くない成長はありません。(辛い思いの詳細はプロフィール参照)
両親の口からも、後悔の言葉を聞いたことはありません。そりゃ思っていることはあるかもしれませんが、特に確かめる必要も感じません。
正解は一つではありません。
では私は自分の子どもにどうするかというと、この記事に書いています。