萩原麻友(ハギワラマユ)のブログへのご訪問ありがとうございます。
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- 海外大学受験生のための「パスウェイ・プログラム」の詳細解説
- 留学生にとってのパスウェイのメリット
- パスウェイの選び方/探し方
私は高校時代、4年間にわたりアメリカで留学していました。
そのあと、アメリカ大学受験をして、複数の合格をいただき、いっときはウィスコンシン州立大学マディソン校に進学をしました。(結局1学期で中退しましたが。)
私が当時、高校留学をしていた最大の目的は「アメリカの大学入学」を有利に進めるためでした。
今なら、海外の大学進学を目指すならほかにも方法があります。
①国内の学校から正規受験
②海外の学校から正規受験
という方法以外に、
③「パスウェイ留学」
と呼ばれる方法があります。
私の「アメリカの高校を出たらアメリカの大学に入りやすい」という考え方は②のパターンですが、今からみると視野が狭すぎます。
でも当時は、ほかの選択肢を知らなかった。
もしあのとき「パスウェイ留学」を知っていたら、もっと自信を持って大学受験に臨むことができたのではないかと思います。後の祭りですが。
海外進学を考える方も、論外な方も、ぜひ知ってほしい進路の選択肢のひとつです。
パスウェイ留学とは?
海外の大学に進学できるひとは
「成績優秀者」や「とにかくすごい人」、または「超幸運なひと」だけだと思っていませんか?
しかし実際には英語力や学業成績が十分でなくても進学できるルートが複数あります。
特に英語圏や一部ヨーロッパ・アジアの留学において。
それは、「パスウェイ留学」のことです。
高校課程↔︎大学の学士課程をつなげるためのカリキュラムの総称。
日本でいう”予備校”と印象がかぶるかもしれませんが、
予備校は受験対策のカリキュラムである一方で、
パスウェイは大学で学ぶために必要な教科知識やリサーチやライティングのスキルを学んだり、プラスで語学補強をしたりします。
大学の一般教養課程に近いイメージです。
パスウェイへの進学基準は、一般的な大学受験(direct entryなどともいう)よりも英語力や学業成績に求められるハードルが低いうえに、知名度も低いことから競争倍率も低くなりやすいことで知られます。
※鵜呑みにせず、ご自身でも調べてくださいね。
パスウェイの詳細は後述します。
さて、日本ではあまりにも知られていない、この「パスウェイ留学」の存在。
これがもっと知られていたら、いわゆる「受験のための勉強」「受験のための課外活動」「受験のための教育虐待(的な不幸な状態)」から一人でも多く抜け出すことができるのではないでしょうか。
ただし、この記事に書いていることは常に変わっていくものですので、すべてを真に受けず、ご自身の状況やニーズに合わせてきちんと調べるようにしてください。
パスウェイ留学の形態
パスウェイ留学は、大学進学のためのブリッジプログラムの総称ですが、その呼び名には多くのバリエーションが存在します。
ここでは、異なる呼び名や形態に焦点を当て、その違いについてざっくりとまとめます。
なおこの記事では、学士課程に入る前のプログラムに焦点を当てますが、修士課程や博士課程にも同様のブリッジプログラムが存在することを覚えておいてください。
パスウェイ留学のプログラムには、国や教育機関によって異なる名前が使われていることがあります。
同じ名前でも内容が違ったり、違う名前でも内容が似ていることもあります。
そのため、パスウェイ留学を探す際には、名前よりもプログラムの内容と要件に注目することが重要です。
以下に挙げる呼び名は、検索を助けるための用語集としてそれでは、いくつかの代表的な呼び名を見てみましょう。
ファウンデーション・プログラム
ファウンデーション・プログラム(Foundation Program)は、大学の学士号(学士課程)を学びたいけれども、入学要件を満たしていない場合に適したコースです。
「ファウンデーション」と「パスウェイ」は、同じものを指すこともありますが、違いもあります。
ファウンデーションは独立した学位として履修できます。つまり、それだけで卒業もできます。学士ではないけど。
でもパスウェイ留学はそもそも学士取得を目指すので、ファウンデーション・プログラムのあとに学士課程に合流することになります。
サーティフィケイトやディプロマ
似た概念で、サーティフィケイト(Certificate)やディプロマ(Diploma)もあります。
サーティフィケイトは、比較的短期間で取得できる資格です。通常、6か月から1年間の期間で学習が完了します。
サーティフィケイト・プログラムは、特定のスキルや知識を習得し、実務に直接役立つことが多いです。例えば、IT、ビジネス、語学、デザインなどの分野で提供されます。
ディプロマは、一般的にサーティフィケートよりも高度な内容を含む学位です。プログラムの期間は1年以上で、最大3年間に及ぶこともあります。
ディプロマを修了することで、専門職に就くための資格を取得できることがあります。
ディプロマ・プログラムは、特定の専門分野における高度な知識と実践的なスキルを提供します。例えば、看護、工学、ホスピタリティマネジメントなどの分野で一般的です。
これらのプログラムは、パスウェイプログラムの一環として提供され、留学生が大学の学士号プログラムに進学するために必要なスキルや知識を習得できるよう設計されています。
留学生は、サーティフィケートやディプロマプログラムを修了した後、大学への進学を検討することができます。
コミカレ留学からの4年制大学編入
アメリカにあるコミュニティカレッジは、2年間のカレッジ教育を提供する教育機関です。これらのカレッジは授業料が比較的安価で、留学生がアメリカの教育システムに慣れるためのスタート地点として優れています。
留学生は通常、コミュニティカレッジで2年間の学業を修了し、必要な単位を取得します。その後、4年制大学に編入するために応募します。コミュニティカレッジでの学業は、編入大学の要件を満たすために適切なコースを選択することが重要です。
編入大学によって要件は異なりますが、多くの場合、留学生は特定のGPA(Grade Point Average)を維持し、特定のコースを修了する必要があります。合格すれば、留学生は4年制大学で学業を続けることができます。
編入プロセスは学校によって異なりますが、一般的には2年間の学業と特定の要件の達成が求められます。これらの要件は、編入先の4年制大学と提携しているカレッジによって異なります。
編入に成功すると、留学生は4年制大学のジュニア(3年生)として入学し、残りの学士号プログラムを修了できます。
これらのプログラムは、留学生にとって費用対効果が高く、4年制大学への編入の道を開く手段となります。
しかし、留学生は編入先の大学の要件を満たすために、しっかりと計画を立て、コースを選択する必要があります。
インターナショナル・イヤー・ワン
インターナショナル・イヤー・ワン(International Year One)は、英語を母国語としない留学生が英語圏で大学進学のために受けることができる準備プログラムです。
このプログラムは、留学生が英語力を向上させ、大学での学業に必要なスキルや知識を習得するのに役立ちます。一般的な大学課程に続く1年目のプログラムとして提供されます。
インターナショナル・イヤー・ワンのカリキュラムは、英語コースや学術コースで構成されており、留学生は英語でのコミュニケーション能力を高め、専門分野の基礎知識を身につけます。
このプログラムを修了すると、留学生は通常、インターナショナル・イヤー・ワンの提携大学に進学できます。
2年目からは通常の大学課程に合流し、学士号の取得に向けて学業を続けます。
関連用語として、インターナショナル・ファウンデーションやインターナショナル・ディプロマもあります。
プリ・バチェラー
プリ・バチェラー(Pre-Bachelor)も、大学進学のための留学プログラムの一つで、学士号(Bachelor’s degree)を取得するための準備を行うプログラムです。
このプログラムは、通常、高校卒業資格がない留学生や、大学への入学条件を満たしていない留学生向けに設計されています。これには、英語力や学業成績に関する要件を満たしていない留学生も含まれます。
プリ・バチェラーのカリキュラムには、一般教育コース、専門知識を構築するコース、および英語力向上のコースが含まれています。これにより、留学生は学士号を追求するために必要なスキルと知識を習得できます。
通常、プリ・バチェラーのプログラムを修了すると、留学生は大学に進学できます。このプログラムは、留学生が通常の大学課程に適応できるように準備を整え、学士号取得への道を開きます。
プリ・バチェラーは、大学進学に向けた効果的なステップとして提供されるプログラムであり、学士号を取得するための基盤を築くのに役立ちます。留学生が学士号取得に向けて成功するための準備を行うのに役立つプログラムです。
条件付き受け入れ
条件付き受け入れ(Conditional Acceptance)は、多くのパスウェイプログラムに付随する重要な要素です。
留学生がパスウェイプログラムを修了した場合、多くの大学は自動的にその学生を受け入れます。
この受け入れは通常、特定の条件を満たすことに基づいています。
これらの条件には、次のようなものが含まれます:
- GPA (Grade Point Average)の達成: 学業成績がパスウェイプログラム内で設定された要件を満たしていること。
- 語学スキルの証明: 大学進学に必要な英語スキルを持っていること(通常、IELTSやTOEFLのスコアで証明)。語学学校の課程修了で代用できることもある。
- コースへの登録: 特定の大学で学ぶコースを選択し、正式に登録手続きを完了すること。
条件付き受け入れでは、パスウェイプログラム修了後、再び大学に申し込む必要がなく、自分の選んだ大学に進学することができます。
語学コースと組み合わせるパターン
多くのパスウェイ・プログラムでは、語学コースを組み合わせることもできます。
トータルでの履修期間は伸びてしまいますが、語学コース→パスウェイ・プログラム→学士課程というルートが用意されていることで、どんなレベルの英語力でも合流できるようになっています。
入り口や出口の豊富さ、比較的誰でも受け入れられる懐の広さが英語圏の留学の真骨頂だと思います。
提供者の多様性
パスウェイ・プログラムのもう一つの魅力、異なるタイプの団体が提供している点です。
進学したい大学が決まっていて、パスウェイプログラムを提供している場合、その大学でプログラムを受講することもできます。
ほかにも、パートナー大学や教育関連の企業がパスウェイプログラムを提供していることもあります。
教育関連の企業とは、たとえばONCAMPUS、Kaplan International、INTO University Partnerships、Navitas、Kings Education、などのグローバルな教育グループのことです。
こうした主催者の違いにより、プログラムの詳細や予算やサービスには違いがあるかもしれませんが、目的が希望の専攻やエリアでの学位取得である限り、パスウェイプログラムの選択において優劣をつける必要はありません。
多くの選択肢の中から最適なプログラムを見つけることが重要だと思います。
パスウェイ留学のメリット
成績や英語力に自信のない学生にとって、パスウェイ留学は有力な選択肢になります。
パスウェイ・プログラムで留学する主なメリットを挙げます。
これらは、留学生だからこそ受けられる恩恵です。
- 適切な準備: 大学進学の条件を満たせない、必要な言語スキルが不足している、または専攻の変更を考えている場合に、パスウェイプログラムは適切な準備をサポートしてくれます。
- スムーズな適応: 大学の学業についていく準備が不足している場合、学業の進行に苦労したり、楽しむ余裕が失われる可能性があります。パスウェイプログラムは留学生に特に、外国での大学生活に適応するための追加の時間を提供してくれます。
- 国際交流: パスウェイプログラムは他の留学生と交流する機会を提供し、新しい環境に適応しやすくなります。また、同じ専攻を選んでいる留学生と出会うことも可能です。
- 学位課程への進学保証: 一部の大学は、特定のパスウェイプログラムを修了した学生に学士課程への進学を保証することがあります。
- 経済的な選択肢: 一部のパスウェイプログラムは4年間の大学進学よりも経済的な場合があります。少なくとも学費だけで比較すると、パスウェイプログラムは通常より手頃な価格で提供されます。
- 進路選択の柔軟性: パスウェイプログラムに参加することで、将来の進路選択に関する柔軟性を維持できます。貴重な10代の時間を、直接入学のための勉強に費やさなくても進学できる可能性を残してくれます。
パスウェイ・プログラムを選ぶ際のポイント
最適なパスウェイプログラムを見つけ、成功に導くためには情報収集と計画が欠かせません。
パスウェイ留学を検討する際、自身の目標とニーズを明確に理解することは極めて重要です。
以下のポイントを考慮しながら、最適なパスウェイプログラムを探してみてください。
- 進路目標の明確化: まず、自身の留学の目的と進路目標を明確にしましょう。どの学問分野に興味があり、どの学位を取得したいのかを理解することは、プログラム選択の基本です。
- 提供校の比較: パスウェイプログラムを提供する学校や機関を比較検討しましょう。提供校の評判、施設、教員陣、カリキュラム内容などを調査し、自分のニーズに合った場所を見つけましょう。
- 進学先大学の確認: パスウェイプログラム修了後の進学先大学も考慮しましょう。パスウェイプログラムが提携している大学や大学への進学条件を確認し、将来の学位取得を見据えた選択を行いましょう。
- アドバイザーのサポート: 選んだパスウェイプログラムが適切なアドバイザーサポートを提供することが重要です。アドバイザーは学業や進路に関する助言を提供し、留学生活を円滑に進める手助けをします。
- 選考基準の理解: パスウェイプログラムへの入学条件や進学に必要な成績要件をよく理解しましょう。特に、条件付き受け入れが提供される場合、その条件を満たすことが大学進学への近道となります。
- プログラムのロケーション: 留学先の場所も検討の対象です。自身の学習環境や生活スタイルに合った場所を選び、留学経験を充実させましょう。
- カリキュラムの内容: パスウェイプログラムのカリキュラム内容を調査し、必要なスキルや知識を獲得できるか確認しましょう。パスウェイプログラムは、大学での勉強に適応するための強力なツールであるべきです。
パスウェイ・プログラムの探し方:キーワードとテクニック
最適なパスウェイプログラムを見つけるための具体的なキーワードと検索テクニックを紹介します。
留学の目的や進路に関連するキーワードを使い、理想的なプログラムを見つけましょう。
- プログラムタイプに関するキーワード: 検索キーワードとして「university pathway」、「foundation program」、「bridge program」、「pre-bachelor」など、パスウェイプログラムの種類を特定するキーワードを使用します。
- 国名または地名: 留学を希望する国や都市の名前をキーワードに組み込みましょう。例えば、「USA university pathway program」や「Australia foundation program」などのキーワードで、特定の地域のパスウェイプログラムを検索できます。
- 専攻に関するキーワード: 関心のある学問分野や専攻に関連するキーワードを含めます。例えば、「business pathway program」や「engineering pre-bachelors」などのキーワードを使用することで、希望の分野に特化したパスウェイプログラムを見つけるのに役立ちます。
- 提供校名: 特定の大学や教育機関を検討している場合、その校名をキーワードに組み込みます。たとえば、「XXX University foundation program」などで、特定の大学のパスウェイプログラムを探すことができます。
- 条件付き受け入れ: 「conditional acceptance」などのキーワードを使用して、パスウェイプログラム修了後の大学進学に関連するプログラムを見つけられる場合があります。
おわりに
大学進学には、多くの選択肢と可能性が広がっています。
中高生の頃、私自身がこれらの選択肢を知っていたなら、高校生活はどんな風に変わっていただろうかと思うことがあります。
情報が私たちの選択肢を広げ、新たな可能性を切り拓いてくれます。その結果、余裕が生まれます。
この選択肢を知っていれば、試験結果や成績だけが大学進学の成功を決定づけるものではないということがわかります。
英語力や学校成績に自信がない場合でも、留学を諦める必要はありません。
これからの時代、テクノロジーが進化し、アウトプットがより高く均質化される一方で、個性やオリジナリティがますます重要になっていくと思います。
テクノロジーの進化は、大学から定員をなくし、入試もなくなるかもしれません。
入学試験のプレッシャーから自由になったら、今度は自分の個性を最大限に活かすことが問われてくるのではないでしょうか。
だからこそ、貴重な10代は成績や英語力よりも、目的意識やコミュニケーション力、そして自分が「ハマる」ことを見つけることが重要なのです。
これは留学だけでなく、日常においても重要な要素です。
自分なりの目的を見つけ、努力し続けることが、成功への鍵です。
留学は手段のひとつにすぎません。どんな道を選ぶにせよ、その道が明るく、希望に満ちていることを願っています。
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