「インターナショナルスクールから日本の学校への転入」について、読者の方からご質問をいただきました。
きっと多くの方が抱くであろう疑問や不安だと思います。
そこで、この記事ではなるべく包括的に答えられるように、
日本の教育制度における「一条校」「専修学校」「各種学校」の違いから、インターナショナルスクールの法的位置づけまでをカバーしています。
- 一条校、専修学校、各種学校の定義と違い
- インターナショナルスクールの多様な法的位置づけ
萩原麻友(ハギワラマユ)のブログへのご訪問ありがとうございます。
このブログでは、子育てや教育や進路に関する情報を発信しています。
では早速始めましょう。
インターナショナルスクールから日本の学校への転入について:よくあるご質問
未就学児の保護者の方からこんなお問い合わせをいただきました。
初めまして、萩原さんの「【経験談】日本のインターナショナルスクールに7年間通った私が質問に答えます」の記事を読みすごく勉強になりました。
最近インターも視野に入れ、子供(未就学児)にどのような英語環境を与えることができるのか考え出しました。
インターについて調べると、ネットの情報だと分かりにくく、周囲にはインター行く方は外国籍の方で日本国籍の親や子供ではなく、何もわからない状態です。
1点教えて頂きたいのですが、一条校ではないインターに小中通わせていると小学生の途中や中学生の途中から、公立の日本の小中学校へ編入できない、と書かれていました。
※インターナショナルスクールに通う場合は、学校教育法第1条に定められた学校ではないため、義務教育課程を修了したことにはならない(文科省HPより)
現在の一条校を文科省のサイトで調べると萩原さんが通われていた学校が出てきませんでした。どのように編入されたのか教えて頂きたいです。
また、なぜ日本の学校に編入されたのか、小中までインターに通わせた後どのような壁がありそうなのかも教えて頂けると有難いです。
結構よくいただくご質問です。
ご質問者さんに許可をいただきましたので、この際しっかりまとめておきたいと思います。
ちなみに途中にある文科省ホームページからの文章はおそらくこのページを参照しているものと思います。
これについても、あとで触れます。
ご質問の要点
このメールに含まれているご質問を分解してみます。
質問者さんは日本にお住まいだと仮定しています。
- 「一条校ではないインター」とは?
- 私の母校のインターは一条校なのか?
- 「一条校ではないインター」に通わせていると日本の公立小中に編入できない?
- 「一条校ではないインター」から日本の小中にどうやって編入した?
- なぜインターから日本の学校に編入した?
- 小中までインターに通わせた後、どんな壁がある?
- インターについて分かりやすく信頼できる情報はどこで手に入る?
- 未就学時の子どもにどんな英語環境を与えられる?
こうしてみると、このテーマについてよくいただく質問がだいたい網羅されています。
追加で私もまとめたいと思った質問を追加しておきます。
- 何でこんなに未就学のうちから英語環境を与えたい家庭がいるんだろう(個人的な観測)
- 一条校と各種学校で迷う人にできるアドバイスは?
補足的な質問と回答も含めてここからまとめていきます。
長くなったので、記事は複数に分けます。
工事中
私自身のスタンス
私は、公立小→インター小中7年間→アメリカのボーディングスクール→日本の大学という大きなUターンルートを辿っています。
そして、子どもたちはふたりとも公立の小学校に通っています。
このブログの読者さんや相談者さん自身やお子さまたちは、
公立・私立・インター・海外・オルタナティブ、などなど所属歴が様々です。
そして私自身は「教育や子育ては親子ごとに違って、正解はない」というスタンスです。
私の教育や子育てに対する基本スタンスはプロフィールでもくわしく読めます。
そんな私から見える景色での回答まとめとなります。ご了承ください。
一条校ではないインターとは
「一条校ではないインター」について説明する前に、
まず「一条校」とは何かをなるべく正確に理解する必要があります。
この理解があってこそ、インターナショナルスクールの位置づけや、転入に関する論点を正確に捉えることができます。
まず、一条校とは
日本の教育についてあれこれ決めている法律はいくつかありますが、
そのうちの一つに「学校教育法」というものがあります。
法律は、上から順番に番号が降ってあり、1条、2条と数えます。
ですから1番目の条文を「第一条」と呼びます。
「学校教育法」の第一条に書かれているのは、学校の定義です。
言い換えると、
「日本で「学校」を名乗っていいのはこういう組織ですよ~」
と決めているのが、学校教育法の第一条です。
つまり一条校とは「学校教育法」に定められている学校のことです。
実は「一条校」という言葉自体は、学校教育法のなかに出てきません。
「学校教育法」に定められている学校のことを示すのに便利なので、
いつの間にか”一条校”とみんなが呼ぶようになったようです。
そう“一条校”は世間一般の俗称です。
さて、学校教育法が「学校」として指している”一条校”は、こういう学校です。
- 幼稚園
- 小学校
- 中学校
- 義務教育学校(いわゆる小中一貫校)
- 高等学校(いわゆる高校)
- 中等教育学校(いわゆる中高一貫校)
- 特別支援学校
- 大学
- 高等専門学校(いわゆる高専)
一条校を作れるのは限られたひとたち
“一条校”を設置できるひとたちも、法律で決められています。
“一条校”を設置できるのは、
- 国
- 地方公共団体(いわゆる都道府県や市区町村など)
- 学校法人
の3つだけです。
はい、よく見る国立・公立・私立の分類が浮かび上がってきました。
学校の設置者 | 学校の分類 |
---|---|
国 (国立大学法人及び独立行政法人国立高等専門学校機構を含む) | 国立 |
都道府県や市区町村など (公立大学法人を含む) | 公立 |
学校法人 | 私立 |
言い換えると、この三者がつくる学校以外はすべて「”一条校”ではない」、ということになります。
(だからといって、この三者が作った学校がすべて一条校とも限らない。くわしくは後ほど)
ちなみにここで登場する学校法人とは、学校教育法とは別の「私立学校法」に基づいて設立された法人のことです。
- 私立学校を設置・運営することを目的とした組織
- 文部科学大臣または都道府県知事の認可を受けて設立される
- 一条校を設置・運営する権利を持つ
- 後述する「一条校ではない」学校も設置できる
- 一条校も、「一条校ではない」学校も、学校法人が設置したものは「私立校」としてひっくるめられる
ここまで”一条校”を設置できる<国、都道府県や市区町村など、学校法人>の3つについて説明しました。
どうやって一条校を見分けるのか
“一条校”は、その種別によって認可や監督をする機関が違います。
学校が”一条校”かどうか調べたいときは、所管機関のホームページで確認することをおすすめします。
以下の表は、”一条校”の種別ごとの所管機関です。
所管機関のホームページには、通常、認可を受けている学校の一覧が掲載されています。
その一覧に載っている学校が”一条校”(である可能性が極めて高い)です。
学校種別 | 所管 | 一覧(例) |
---|---|---|
公立または私立の -大学 -高専 | 文部科学大臣 | 大学・短期大学・高等専門学校・法人一覧:文部科学省 |
公立の -幼稚園 -小学校 -中学校 -小中一貫校 -高校 -中高一貫校 -特別支援学校 | 都道府県の教育委員会 | 東京都の場合: 公立学校統計調査報告書【東京都公立学校一覧】|東京都教育委員会ホームページ |
私立の -幼稚園 -小学校 -中学校 -小中一貫校 -高校 -中高一貫校 -特別支援学校 | 都道府県知事 | 東京都の場合: 私立学校|東京都 |
まとめると、”一条校”とはこういうことです。
<国、都道府県や市区町村など、学校法人>の3つのどれかが設置した
<幼小中高大、特支、高専>などの学校のこと
日本の法律はこのようにして国民の教育を受ける権利を守るために日本の教育の枠組みを決めているんですね。
国民に質の悪い教育を受けさせないために、
そして国民が教育を受ける機会を損なわないために、
これは必要なことだと私は思います。
一条校と学校法人は違うの?
ちょっと脱線しますが、たまに聞く質問です。
一条校と学校法人は異なる概念です。
“一条校”は学校教育法第一条で定められた学校のことを指し、
学校法人は、「私立学校法」のもとに学校を設置・運営できる法人格のことを指します。
つまり:
- “一条校”は「学校の種類」に関する分類
- 学校法人は「設置・運営主体」に関する分類
ということです。
これはややこしいので飛ばしてもらっていいのですが、
学校法人は“一条校”以外の学校(各種学校など)も設置・運営することができます。
ただし、私立の”一条校”を設置できるのは学校法人のみです。
「一条校ではない」学校とは
やっと少し本題に近づいてきました。
日本には“一条校”ではない学校も正式に存在しています。
そう、学校教育法は”一条校”以外の学校のことも言及しているんです。
学校教育法がはっきり”一条校”と区別して定めているのは「専修学校」と「各種学校」の2種類です。
専修学校では実践的な教育を受けられる
専修学校は、「職業若しくは実際生活に必要な能力を育成し、又は教養の向上を図ることを目的として…組織的な教育を行う」”一条校”以外の教育機関のことです。
そう、専修学校は“一条校”ではない。
専修学校は都道府県知事の認可が必要であり、その設置基準は国によって詳しく定められています。
たとえば、
- 調理師学校
- 美容専門学校
- 看護専門学校
- 工業専門学校
- デザイン専門学校
- ビジネス専門学校
などが専修学校に該当します。
専修学校は職業に直結した実践的な教育を提供していることがわかると思います。
細かくいうと、専修学校には中卒生が入れる高等課程、高卒生が入れる専門課程、その他の一般課程があり、対象者は幅広いです。
専修学校は”一条校”と完全に同等ではありませんが、特定の目的や状況下では代替的な選択肢となり得ます。
たとえば、文部科学大臣指定の高等専修学校を卒業すると、大学入学資格が得られます。
高卒者対象の専門課程では「専門士」「高度専門士」の称号が付与され、一定の条件下で大学編入や大学院進学が可能です。
その他は、だいたい各種学校
“一条校”や専修学校以外の教育機関で「学校教育に類する教育を行うもの」は各種学校として分類されています。
たとえばインターナショナルスクール、外国人学校(中華学校、韓国学校など)、予備校、自動車教習所、料理学校、和裁・洋裁学校、語学学校などです。
各種学校は、一条校ほど厳格な基準ではないものの、一定の教育水準を満たすことが求められ、所管からの認可を受けて運営されています。
めちゃくちゃ少ないけど、実は公立の各種学校もあるんです。
気になったので調べてみたら公立の各種学校は全国で6校しかありませんでした。
- 公立双葉准看護学院(福島県)
- にちなん中国山地林業アカデミー(鳥取県)
- うきは市立自動車学校(福岡県)
- 大分市立エスペランサ・コレジオ(大分県)
- 国東市立国東自動車学校(大分県)
- 肝付町立高山准看護学校(鹿児島県)
各種学校はカリキュラムや教員の資格について“一条校”や専修学校よりも自由に決められます。
そのため、より柔軟な教育を提供できる一方で、教育の質は教育機関によってばらつきがあります。
“一条校”と各種学校の違いを表すとこんな感じ。
- “一条校”の卒業生は「高卒」「大卒」として認められるけど、各種学校の卒業生は認められない。
- “一条校”の卒業生は大学入学資格を自動的に得られるけど、各種学校の卒業生は原則として得られない。
- “一条校”の生徒は学割や通学定期券を使えるけど、各種学校の生徒は原則として使えない。
ただ各種学校は多種多様なので、例外はありえます。
ケースバイケースだと思って都度確認してください。
日本の「学校らしきもの」たち
さて、これで役者が出揃いました。
まとめると、
日本の教育機関は法律に基づいて以下のように分類されています:
- 学校(いわゆる一条校):学校教育法第一条で定められた教育機関(公立・私立の小中高等)
- 専修学校:職業や実生活に必要な能力を育成する実践的な教育機関(専門学校等)
- 各種学校:一条校・専修学校以外の教育機関(インターナショナルスクール等)
それぞれが異なる役割を持ち、日本の教育システムの中で補い合っています。
ここで見落とせない大事なポイント。
日本の教育制度は”一条校”+専修学校+各種学校が基本役者となっていますが、
だからといってそれ以外の教育機関の存在や役割を否定しているわけではありません。
ほかにも「学校らしきもの」がたくさんあります。
そもそも教育制度をつくる前提にあるのは、
多様な教育の機会や役割を認めつつ、義務教育の確実な実施を図ることです。
「”一条校”だけが正解」「各種学校ですらない」みたいな考えかたは、
むしろ教育の機会や改善を損ねる考え方だと私は思います。
フリースクールは各種学校?
脱線シリーズ。
フリースクールと呼ばれるものは、各種学校でしょうか?
文部科学省は、フリースクールを「不登校児童生徒を受け入れ、相談や学習機会の提供等を行っている民間の団体、施設」と位置付けています。(出典)
フリースクールの中には、NPO法人や一般社団法人として運営されているところが多くあります。
一部は各種学校として認可されているかもしれませんが、
ほとんどのフリースクールは、一条校でも専修学校でも各種学校でもありません。
フリースクールに通う子どもたちの多くは、同時に”一条校”(通常は公立の小中学校)にも籍を置いています。
というわけでフリースクールは、正規の学校と連携しながら独自の教育活動を展開している形が一般的です。
オルタナティブスクールは各種学校?
オルタナティブスクールは、従来の学校教育とは異なる教育方法や理念に基づいて運営される教育施設を指す広い概念です。
オルタナティブスクールも、フリースクールと同様に、法的な位置づけは様々です。
一部は”一条校”や、専修学校、各種学校として認可されているかもしれませんが、どれでもない機関もあるでしょう。
認可を受けているオルタナティブスクールは、より公的な位置づけを得ていますが、
多くは独自の教育理念に基づいて、より自由な形態で運営されています。
通信制やオンラインスクールは各種学校?
通信制やオンラインスクールの法的位置づけも、その運営形態によって異なります。
- “一条校”の通信制課程として認可されているもの(通信制高校など)
- 各種学校として認可を受けているもの
- 民間教育事業者として運営されているもの
特に近年、オンライン教育の需要が高まる中で、様々な形態のオンラインスクールが登場しています。
“一条校”の通信制課程は、正規の学校教育として認められ、卒業資格も通学制と同等です。
一方、各種学校や民間事業者として運営されているオンラインスクールは、補完的な教育機会を提供する位置づけとなります。
通信制やオンラインなど、受講形態ではその機関の法的な位置づけはわかりません。
必要に応じて確認しましょう。
一条校・専修学校・各種学校「以外」の教育機関
このように「学校らしきもの」って結構たくさんあります。
法律で定められた”一条校”・専修学校・各種学校という枠組みには収まらない多様な形態があるということです。
たとえば以下のような分類があります。
注)一般的な呼び方や機能による分類です。正式な法的分類とは異なることにご注意ください。
教育支援施設
- 在外教育施設(日本人学校、補習授業校)
- “無認可校”(一部のサポート校、フリースクール、オルタナティブスクールなど):学校に似た形態を持ち、カリキュラムや学習指導要領に準じた教育を提供する傾向がある施設
- 民間教育事業者(予備校、学習塾、プログラミングスクール、語学教室など):特定の教育サービスを提供する事業者として位置づけられ、補完的な教育を提供する施設
幼児教育・保育施設
- 保育所
- 認定こども園
特色のある教育施設
- インターナショナルスクール(認可を受けていないもの)
- 外国人学校(認可を受けていないもの)
- 職業能力開発施設(職業訓練校、職業能力開発大学校など)
これらの「学校らしきもの」は学校教育法の定める教育機関ではありません。
だからといって無法地帯なのではなく、
それぞれの法律や所管による監督を受けています。たとえば:
- 在外教育施設は「在外教育施設における教育の振興に関する法律」に基づき、種別によって所管も定められ、公的な支援を受けている
- 保育所は児童福祉法に基づき、厚生労働省の監督下にある
- 職業訓練校は職業能力開発促進法に基づき、厚生労働省が所管している
- 認定こども園は就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律に基づいている
- “無認可校”や民間教育事業者は特定商取引法の規制対象となり、消費者保護の観点から監督されている
これらは学校教育法上の教育機関とは認められていないため、「学校」「小学校」「中学校」「大学」などの名称を使うことはできません。
でも、それぞれに適した法的な枠組みの中で教育活動を自由に行うことができます。
ただし、日本においての卒業資格の扱いや転入学の手続き、教育内容の自由度などの取り扱いがそれぞれ異なるので、注意が必要です。
利用するときは目的を明確にして判断しましょう。
インターは一条校ではないのか
かなり遠回りをしてまいりました。
これまで、「一条校とは」、「一条校ではない学校とは」「学校らしきものたち」について考えてきました。
ようやく、ここからインターナショナルスクールの位置づけについてです。
インターナショナルスクールとは
まずインターナショナルスクールとは、
主に外国人児童生徒や帰国子女、国際教育を求める日本人児童生徒を対象とした教育機関です。
インターナショナルスクールの特徴を挙げてみます。
が、一口にインターナショナルスクールといっても様々なので、厳密な定義というよりは一般的な特徴としてみなしてください。
- 英語(または他の外国語)を主要な教授言語として使用
- 国際的なカリキュラム(IBプログラムなど)や外国の教育課程を採用
- 多文化環境での学習機会を提供を提供している
- グローバルな視点を重視した教育を行っている
繰り返しますがこれらはあくまで主な特徴であって、全てのインターナショナルスクールがこれら全ての要素を備えているわけではありません。
また、学校によって重点を置く部分も異なります。
インターナショナルスクールの位置づけ
ここまで読まれた方にはおわかりかもしれません。
インターナショナルスクールと一括りにいっても、その法的な位置づけは様々です。
日本国内のインターナショナルスクールを法的な位置づけによってまとめると、以下の4つに分類されると思います。
- “一条校”
- 専修学校
- 各種学校
- その他
インターが一条校として認可されているケース
インターが”一条校”として認可されているケースは、以下のような状態です。
- 学校教育法第1条に基づく正規の学校として認可されている
- 日本の教育課程と国際カリキュラムを併用している
- 卒業資格は日本の学校と同等の資格が得られる
- 一条校同士の転校は通常の転校手続きと同様に可能(編入試験が必要な場合もあり)
- 大学入学資格は日本の高等学校の卒業と同等の資格として認められる
“一条校”インターは少ないですが、あるにはあります。たとえば:
- UWC ISAK Japan
- 幕張インターナショナルスクール
- サニーサイドインターナショナルスクール
- 沖縄アミークスインターナショナル幼稚園・小学校・中学校
- インターナショナルスクールオブ長野
- 神石インターナショナルスクール
- 国際高等学校
専修学校として認可されているケース
専修学校として認可されているインターナショナルスクールは理論上あり得ると思えるのですが、聞いたことがありません。
インターナショナルスクールの多くは、一条校か各種学校、もしくは認可外の形態を選択していると思います。
もし例外をご存知のかたはこっそりお知らせください。
各種学校として認可されているケース
こちらが一番多いパターンかと思います。
各種学校として運営されているインターは、以下のような状態です。
- 学校教育法第134条に基づく各種学校として認可されている
- 独自の教育カリキュラムを実施
- 外国の教育当局や認証機関からの認可を受けている場合もある(ないこともある)
- 国内の他の各種学校や一条校への転入・編入には個別の審査や試験が必要となることが多い
- 大学入学資格は文科省の挙げる項目のいずれかに該当するひとには認められます。
各種学校インターから”一条校”などに移りたいときは、事前に転入を希望する学校や教育委員会に相談することをお勧めします。
また、大学によってはインターナショナルスクールの卒業生向けの入学試験制度を設けています。
でもやっぱり学校によって出願資格や試験制度が異なるので、可能性があるとわかった段階で早めに確認することをお勧めします。
お近くのインターが各種学校かどうかは、文科省の一覧で確認することができます。
- 私立各種学校一覧:文部科学省 https://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/senshuu/1332565.htm
この↑リンクを辿って兵庫県の各種学校一覧をみると、
私の母校も「マリスト・ブラザース・インターナショナル・スクール」として載っています。
その他(日本では認可外の扱い)
“一条校”でも専修学校でも各種学校でもないインターも存在します。
いわゆる”認可外”のインターとは、こういう状態です。
- 日本の教育制度上の認可を受けていない
- 外国やオリジナルの教育カリキュラムを採用
- 外国の教育当局や認証機関からの認可を受けている場合がある(ないこともある)
- 大学入学資格は、文科省の挙げる項目のいずれかに該当するひとには認められます
こうした認可外インターナショナルスクールの具体的な例を挙げるのは難しいです。
というのも、こういう学校は目立たない、あるいは目立ちたがっていない場合が多いからです。
以下のような理由が考えられます:
- 新設されて間もないインターナショナルスクール(各種学校認可申請の準備中)
- 小規模なスクール(認可申請の基準を満たすための施設や設備の整備が困難)
- 特定のコミュニティに向けた教育機関(独自の教育方針を重視)
これらの学校も多くの場合、各種学校認可の取得を目指して準備を進めていると思われます。
それ以外のパターンは…ここでは差し控えます。
いろんな教育の形があります。お察しください。
まとめ
「一条校ではないインター」に通わせていると日本の公立小中に編入できないのか。
この質問に答える前段階として、この記事では「そもそも一条校とは」「一条校ではない学校とは」「一条校ではないインターとは」をカバーしました。
多くのインターナショナルスクールは各種学校として認可を受けています。
一部は一条校として認可されています。
学校としての認可を受けずに運営されているケースもあります。
ここで大切なのは、
“一条校”ではないインターや無認可インターが認可を受けていないのは、
必ずしも「認可を受けられないほど質が悪い」「後ろめたいことがある」からではないということです。
むしろ積極的な理由からあえて認可を受けないという選択をしている場合もあります。
たとえば:
- 教育の自由度を確保するため。日本の学習指導要領に縛られず、独自の教育方針やカリキュラムを柔軟に展開できる
- 国際基準への準拠のため。海外の教育認定機関からの承認を優先し、グローバルスタンダードの教育を提供できる
- 教育の一貫性を保つため。世界中の同系列校で統一された教育プログラムを提供できる
つまり「認可の有無」は必ずしも教育の質を示す指標ではなく、
それぞれの学校が持つ教育理念や目標に基づいた戦略的な選択の可能性もあるということです。
言い換えます。
“一条校”だからといって無条件に良い学校とは言えないよ!
“無認可”だからといって無条件に悪い施設とは言えないよ!
そもそも学校の良し悪しは、子どもによって、家庭によって、異なります。
そしてもう一つ大事なこと。
日本の法律や教育制度は、国民の敵ではありません(笑)
国民に質の悪い教育を受けさせないために、
そして国民が教育を受ける機会を損なわないために、
そのために存在している大事なものです。
国民がこれからも育てていくものだとも言えます。
どうか見捨てないであげてくださいませ。